「新型コロナウイルスの大流行でほとんどの国で債務が増えたという点で、韓国の財政は他の先進国より良好だ」。世界3大信用格付け会社のひとつムーディーズのクリスチャン・ド・グズマン韓国担当取締役は15日、電子メールでのインタビューで、韓国の財政状況を肯定的に評価した。ムーディーズは韓国の国家信用格付けを2015年12月に3番目に高い「Aa2」に引き上げてから、そのまま持持している。
グズマン氏は韓国の政府債務比率が2019年38.1%から昨年43.9%に急激に増加したことについて「ほとんどの国で新型コロナで税収は減り、支出は増えて政府債務比率が高まった」とし、「韓国を含む先進国は豊かな資金力のもと、新興国に比べて債務を担う余力がある」と述べた。さらに「ほかの先進国は韓国よりも経済が萎縮し、負債比率が相対的に悪化した」と指摘した。
グズマン氏は「韓国の主要財政リスクである高齢化と労働年齢人口の減少で、政府債務比率が2040年には60%を超えると予想したが、新型コロナでその時期が早まる可能性もある」とし、「新型コロナの流行が鎮静化した後、政府債務の上昇傾向を安定化させる努力次第で今後の韓国の財政余力が変わるだろう」と述べた。また「財政準則の議論過程を注視しており、準則がまとまれば韓国の財政状況を判断する主な基準の一つになり得る」と付け加えた。韓国政府は昨年2025年から国家債務比率を「対GDP比60%以内」、統合財政収支は「対GDP比-3%以内」に管理する内容を国会に提出しており、来月から議論が行われる見通しだ。
今年の韓国の経済成長率は、政府予測値(3.2%)よりやや低い3.1%と見込んだ。「韓国経済が通貨危機以来、初めて昨年マイナス成長し、今年は-3.1%成長すると見られる」とし、「最近数年間の成長率に比べれば高い水準だが、昨年マイナス成長したことによるベース効果が現れるだろう」と説明した。また「各国間はもちろん、韓国経済内部でも不均衡で非対称的な回復が実現する可能性が高く、労働市場も同じ様相を呈するだろう」とし、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)で被害を受ける観光や小売部門と、需要が増えている半導体・電子製品産業を例に挙げた。