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燃料電池トラックメーカーのニコラ、「自社技術の虚偽」報告書で詐欺説の波紋

登録:2020-09-14 03:17 修正:2020-09-14 09:50
「ヒンデンブルグ報告書」の波紋が広がる 
ニコラ側「報告書への法的措置を検討」
ニコラが2018年1月にYouTubueチャンネルで公開した映像「Nikola One in Motion」で、燃料電池セミトラックの「ニコラ・ワン」が走る様子=ニコラ提供//ハンギョレ新聞社

 最近、ゼネラルモーターズ(GM)と提携した米国の燃料電池トラックメーカーのニコラが、大規模な詐欺を繰り広げたという疑惑に包まれた。ニコラは「空売り勢力の虚偽の主張に過ぎない」と反論した。

 13日、米国の金融分析業者のヒンデンブルグ・リサーチ(以下、「ヒンデンブルグ」)のウェブサイトによると、同社は10日(現地時間)、「ニコラ:数多くの嘘で米国最大の完成車メーカーと提携を結ぶ方法」というタイトルの報告書を公開した。

 報告書で提起した疑惑の中心は「水素価格を1キログラム当たり16ドルから3~4ドルにまで下げた」というニコラの創業者兼会長のトレバー・ミルトン氏の主張だ。ヒンデンブルグは、トレバー・ミルトン氏が7月のリンクトイン(LinkedIn)でのインタビューで、現在、水素を生産していないと認めただけでなく、ニコラの担当役員には水素分野の専門性がないと明らかにした。ヒンデンブルグの調査の結果、水素生産・インフラ担当役員のトラビス・ミルトン氏は、トレバー・ミルトン氏の弟であり、建設下請会社出身だと明らかになった。トレバー・ミルトン氏が「水素の専門家」だと紹介したインフラ開発担当のデール・プラウズ氏は、過去にゴルフクラブを運営していたことが明らかになった。また、リンクトインで公開された履歴によると、チーフ・エンジニアであるケビン・リンク氏は、以前の職場でピンボールとスロットなどの娯楽機器の修理やソフトウェア開発などを担当していた。

ニコラが2018年1月にYouTubueチャンネルで公開した映像「Nikola One in Motion」で、燃料電池セミトラックの「ニコラ・ワン」が走る様子=ニコラ提供//ハンギョレ新聞社

 ヒンデンブルグは、ニコラの水素燃料電池の技術も「虚偽」に過ぎないと見なした。ボルボの子会社であるパワーセルAB(Powercell AB)の報道担当者は、ヒンデンブルグとの電話で「(ニコラは)より優れた燃料電池を直接提供すると言ったが、これは虚偽だ」と述べたという。パワーセルABは2017年、ニコラに水素燃料電池スタックを供給する契約を結んだが、2年後に「契約条件を受け入れることができない」とし、協力を中断したことがある。

 2018年に公開されたセミトラック「ニコラ・ワン」の映像も、演出されたものだとヒンデンブルグは主張した。その根拠として、「ケビン(ニコラのチーフ・エンジニア)にどうするのかと尋ねたところ、(トラックを)傾斜が非常に緩やかな丘の上に牽引した後、転がすつもりだと語った」というニコラの元職員の携帯メッセージを提示した。ヒンデンブルグは映像が撮影された道路で実際に実験してみた結果、ギアをニュートラルにしたSUV車を2.1マイル(3.4キロメートル)走らせることに成功したと明らかにした。また、「背景に傾斜を推測させるほどの特徴がなかったため、傾斜がないか、むしろかすかに上り坂のように見えるようカメラアングルを取ることができた」とした。

 疑惑の波紋は容易に収まらない様相だ。さらに、別の金融分析業者のシトロン・リサーチは、翌日の11日のツイッターに「完全な詐欺だと思われるニコラについて暴露したヒンデンブルグにお祝いのメッセージを送る」と書いた。フィナンシャル・タイムズは12日、トラックが実際に作動するのかを尋ねる質問に対し、ニコラの最高経営責任者(CEO)のマーク・ラッセル氏が「ノーコメント」と答えたと報道した。

ニコラのトレバー・ミルトン創業者兼会長=ニコラ提供//ハンギョレ新聞社

 ニコラは11日に報道資料を出し、「(ヒンデンブルグの報告書は)私たちの株価を人為的に下げようとする空売り勢力が出したもの」だとし、「私たちは隠すことはない」と対抗した。法的措置を検討中であり、米国証券取引委員会(SEC)の調査を要請するとも述べた。報告書でヒンデンブルグは「今回の調査の後、ニコラの株式に対する売りポジション(short position)を取った」と明らかにした。最近、ニコラと提携したGMも「ニコラについて完全な確信を持っている」という立場を示した。11日のニューヨーク証券市場でニコラの株価は前日より14.48%下げた32.13ドルで取引を終えた。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/961941.html韓国語原文入力:2020-09-13 20:23
訳M.S

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