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サムスンがバッテリーを変えるか? 現代自動車が車を変えるか?

登録:2020-05-15 20:17 修正:2020-05-17 11:22
両社のバッテリーモデルが異なり 
どちらか一方の生産ラインの大転換が必要 
協力と同時に“利益バランス”の戦略ゲーム
グラフィック_キム・スンミ//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が、現代自動車のためにサムスンの電気自動車用バッテリーのモデルを変えるだろうか? はたまた、現代自動車グループのチョン・ウィソン首席副会長がサムスンのために現代自動車の電気自動車のプラットホームを変えるだろうか? サムスンと現代自動車、二つのグループが電気自動車用バッテリーをめぐり“協力”すると同時に利益バランスのための“戦略ゲーム”に突入した。3年後にグローバル市場規模100兆ウォン(約8.7兆円)に達すると見られる電気自動車用バッテリーの市場覇権のために、サムスンと現代自動車が「グリーン・ニューディール連合」を試みており、両グループの“最終選択”に注目が集まっている。

 14日、産業通商資源部に対する取材を総合すると、前日にイ・ジェヨン副会長とチョン・ウィソン首席副会長が天安(チョナン)のサムスンSDI事業場で開いた“トップ単独会合”の主題は、電気自動車用バッテリー(2次電池)と関連して各自が追求してきた既存の方式を果たしてどちらが変えるかだったという。産業部関係者は「全世界的に電気自動車用バッテリーのモデルは既存のリチウムイオン方式から“全固体”電池に変わっているが、両グループのビジネスを見ると、この技術の開発段階にあるサムスンSDIが既に生産してきた角形および円筒形に加えてパウチ型電池を追加で生産するのか、あるいは逆に現代自動車が既にサムソンSDIが生産してきた角形・円筒形も使う方向に完成電気自動車のプラットホーム自体を変えるのかがカギだと理解する」と話した。現代自動車は、今まで電気自動車にLG化学・SKイノベーションが生産するパウチ型電池を装着してきたが、サムスンSDIはパウチ型バッテリーを生産していない。表面的には“協力”の姿勢と見えるが、実際には果たしてどちらが莫大な追加費用をかけて相手方の需要・供給先のための生産ラインの大転換に出るのかをめぐり、それぞれが相手の戦略変化に応じて自分の選択行動を変える“ゲーム”を行っていると見られる。一方は数千億ウォンあるいは数兆ウォンの施設資本を追加で投じなければならない。政府のまた別の高官は「(両社の議論の結果が)後日発表されるだろう。待ってみよう」と話した。

グローバル電気自動車バッテリー市場展望=資料:未来アセット大宇証券//ハンギョレ新聞社

 全固体方式は、陽極材と陰極材の間に入る電解質が液体(リチウムイオン)ではなく固体なので、火災のリスクが少ないのが長所だ。また、超小型化でき、複数のバッテリーを装着して1回の充電による走行距離を最大800キロメートルまで延ばすこともできる。両グループのトップ会合は、全固体方式自体よりは、この方式で作るサムスンSDIのバッテリー形状(角・円筒・パウチ)と現代自動車の電池装着プラットホームの改造をめぐり相手の出方を探る目的でなされたということだ。両トップが直接会ってひとまずエンジンをかけただけに、どのような方式を選択するかをめぐり両グループの実務者が激しい競争に入る公算が高まった。

 政府もいわゆる「グリーン・ニューディール」次元で、両グループの協力に介入して支援に乗り出す公算が大きい。産業部のまた別の高官は「両社の電気自動車およびバッテリー協力は、大きく見れば今政府が『ポストコロナ』として構想している『グリーン・ニューディール』に当てはまる」と話した。また別の関係者も「LG化学とSKイノベーションが現代自動車に納品してきた電気バッテリーの物量を変えるというよりは、現代自動車がサムソンSDIまで含めて韓国の電気自動車バッテリー3社の共通需要先になるモデル」と述べ、「政府がエコカー戦略で電気自動車と水素自動車の両方のツートラック路線を追求しているように、電気自動車用バッテリーでも角形・円筒形の他にパウチ方式まで多様に協力するトラックが望ましい」と話した。両グループのバッテリー協力を「グリーン・ニューディール」の一分野として、大幅な支援に乗り出す可能性があることを示唆したと解釈できる。この日、ソン・ユンモ産業部長官も記者懇談会で「グリーン・ニューディールは、既存の主力産業からある程度抜け出して、該当プロジェクトが産業界の中で直ちに効果を出しうる新たな分野の産業化に重点を置くだろう」と話した。

 全世界の電気自動車用バッテリー市場(2023年95兆8千億ウォンと展望)は、韓国・日本・中国・米国が争奪戦を行う巨大成長産業だ。政府関係者は「トヨタが今年の東京五輪で世界初の全固体バッテリーコンセプトカー1台を作り、競技場を一周する試験運行を行う予定だったが、ひとまず取消・延期になった状態」と話した。

チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/945031.html韓国語原文入力:2020-05-15 10:56
訳J.S

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