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下げ止まった指標に食い違う解釈「景気、底打った」‐「持ち直し判断は早い」

登録:2019-11-08 03:03 修正:2019-11-08 22:52
民間金融会社「第3~4四半期が底 
来年の成長率持ち直しが有力」と分析 
KDIなど研究機関と学界は慎重 
「景気が上向くきっかけ見えぬ」
一致指数・先行指数 循環変動値//ハンギョレ新聞社

 景気が現在、底を打っているという分析が続々と出ている。主な景気指標の下落傾向が止まったうえ、11カ月間減少していた輸出も来年は増加傾向に転ずるものと見込まれるからだ。ただ、景気が持ち直しても長期的な低成長局面で現れる一時的な回復という見方が優勢だ。

 市場の変化に敏感な民間金融機関からは、今年第3~4四半期が景気の底という分析が相次いで出ている。マッコーリー証券韓国のファン・チャニョン代表取締役は8日の記者懇談会で「米中貿易紛争にともなう危険は相当部分株価に反映された」とし、「景気が今年第4四半期には底を打ち、来年から反発して韓国の株式市場も良い流れが続くだろう」と述べた。これに先立って、KTB投資証券は今月4日の報告書で、景気先行指標の循環変動値の反発、製造業の在庫率下落などを根拠に「国内経済の底打ちが近づいてきたという兆しが確認される」、「小循環局面で国内の景気は底を打った可能性が大きく、来年の経済成長率の持ち直しが有力」と展望している。

 NH投資証券も先月24日の報告書で「米国と中国の輸出品の在庫解消の流れが続くため、11月の指標からは輸出減少幅が縮小することが見込まれる」、「経済成長率は第3四半期を底として第4四半期から緩やかに回復すると予想する」と分析している。

 韓国の景気は2017年9月に天井を打ち、後退局面がすでに25カ月目に入っている。過去の平均後退期間より6カ月以上続いており、景気循環の流れからも底を打つ時期になったと見ているのだ。6カ月後の景気を予測する先行指標の循環変動値は、今年4月の99から7、8月には98.4に落ちたが、9月には98.5と少し持ち直した。

 ただ、学界や研究機関は「景気底打ち論」に慎重な立場だ。韓国開発研究院(KDI)はこの日「11月経済動向」を発表し、8カ月連続で景気低迷と診断した。ただし同院は「製造業の稼働率が小幅上昇し、景気一致指数の循環変動値が横ばいなのは、景気後退が深化していないことを示唆している」と指摘した。

 現在の景気状況を示す景気一致指数の循環変動値は、3、4月には99.2と今年に入って最も低かったが、5月から上下を繰り返し、9月には99.5に上がった。9月の小売販売額は乗用車など耐久財を中心に良好な増加傾向を見せ、消費者心理指数も前月より1.7ポイント上昇の98.6で、消費不振が緩やかに改善している様子も見られる。

 同院経済展望室のキム・ソンテ室長は、「為替レートがやや下がって株価がやや上昇するなど、株式市場に金が流れ込む様子がうかがえる。未来はこれ以上悪化しないだろうという期待が株価に反映されている。主要経済指標もこれ以上悪化しない状況だ」と述べた。ただし、キム室長は「景気が上向くきっかけが見えないため、底を打ったと判断するのはまだ早い」と述べた。

 西江大学経済大学院のキム・ヨンイク教授は、「底は脱したように見えるが、かつてのように景気の振幅が大きくなく、持ち直したとしても微々たるものだ」とし、「韓国経済が日本のように低成長局面に入りつつある中で上下していると見るべきだ」と述べた。

 政府は来年度の支出を大幅に増やして景気対策に乗り出している。しかし、世界の経済環境は不透明であり、高齢化などで韓国経済の基礎体力が弱まっているため、持ち直しは容易ではないだろうという懸念も依然として強い。現代経済研究院経済研究室のチュ・ウォン室長は、「指標が上がるかに見えて再び下がる『二番底』現象かもしれない」とし、「特に中国経済が過剰投資気味かつ企業が多くの負債を抱えている状態なので、来年成長率が下がる可能性が高い。この場合、韓国も景気回復は難しいだろう」と述べた。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/916144.html韓国語原文入力:2019-11-07 11:59
訳D.K

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