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「精度の高い経営」を謳ったLGの脱線…オーナー一族、10年間脱税取引に関与

登録:2018-10-10 10:26 修正:2018-10-10 16:46
LGオーナー一族14人、脱税容疑で起訴 
 
親戚30人・財団2カ所が持分45%を保有 
経営権維持のため持分を売買し 
事前に株の価格を決めておき 
譲渡税割り増しを避けようと場内取引に固守 
前職・現職の財務管理チーム長2人も起訴 
会社の介入…オーナーの責任は避けられず
LGグループ//ハンギョレ新聞社

 LGグループのオーナー一族14人と持株会社の財務チーム職員2人が最近、株式譲渡所得税156億ウォン(約15億6千万円)の脱税容疑で起訴された。経営権維持のために大株主や親戚・姻戚同士の持分を売買する過程で、巨額の税金を納めなかったのが摘発されたものだ。これまで大きな雑音なくグループを維持し、財閥支配構造の模範とされていたLGに何があったのか。

■10年の間に何が?…組織的な脱税の持分取引

 ソウル中央地検租税犯罪捜査部(チェ・ホヨン部長検事)は先月28日、故ク・ボンム前会長の妹ミジョン氏など14人のオーナー一族とLGの前職・現職の財務管理チーム長など、計16人を脱税容疑で起訴した。2人のチーム長は、特定犯罪加重処罰法違反(租税)容疑で在宅起訴し、親戚・姻戚など特殊関係者14人は脱税を指示したかどうかが明らかでないため、租税犯処罰法違反の容疑だけで略式起訴した。検察は国税庁の告発でこの捜査に乗り出し、5月初めにLGを家宅捜索もした。

 9日、検察の捜査結果によると、LG一族は2007年から10年間、持株会社(株)LGとLG商事の株式数千億ウォン分を102回にわたって場内で取引した。ク・ボンム当時会長と彼の弟、いとこなどオーナー一族がそれぞれ保有した株式を数千~数十万株ずつ交わしたが、大株主と特殊関係者の間の株式取引は取引額(4カ月分の平均価格)に20%を割り増しした金額(経営権プレミアムを反映)を基準に譲渡所得税を申告しなければならない法律(相続税及び贈与税法第63条)違反の疑いだ。場内ではなく場外取引をすれば、売買当事者が明らかになるので、税金の割り増しを避けられない。特殊関係者間取引の事実を隠すために意図的に場内取引をしたというのが検察の判断だ。

LGグループ場内取引の進行図//ハンギョレ新聞社

 2013年11月、LGは故ク・ボンム前会長の長女ヨンギョン氏が保有した(株)LGの株式27万株をク前会長とク・グァンモ会長に渡すことにした。LG財務管理チーム長のH氏は、NH投資証券を通じて11月11日から14日までの4日間、ヨンギョン氏の持分をそれぞれ5万5千~7万5千株ずつに分け、4回にわたり売り注文を出した。同時にク前会長とク・グァンモ会長名で同じ量の買い注文を出した。結局、ヨンギョン氏が11日に売った株式7万5000株をク前会長が2万4812株、ク・グァンモ会長が9353株買った。12日に売った7万1000株のうちではク・グァンモ会長が2万8404株、ク前会長が1万4289株を買った。この過程でヨンギョン氏は4億1931万ウォン(約4190万円)の譲渡所得税を納めなかった。当時、(株)LGの株は一株あたり6万ウォン(約6000円)の割合で、27万株は162億ウォン(約16億円)分に当たる。LG株式の一日平均取引量が10万~30万株だったことを考慮すると、ヨンギョン氏が売った量は一日の取引高の20~50%に該当する。当時、LG株式は4日連続下落した。

 検察はLGがこのような売買方式を使った理由として、譲渡税の脱税とともに、馴合売買の摘発を避けるためと見ている。馴合売買とは買い主と売り主が事前に価格を決めておいて場内で一定時間株式を売買しあうことをいう。市場を撹乱し、不当な利益を取る問題のために資本市場法(第178条)で禁止されている。

 LGのこのような売買方式を黙過する場合、譲渡税漏れだけでなく、脱法相続につながりうるという指摘もある。キム・ギョンユル会計士(参与連帯執行委員長)は「株式の場合、割り増しを含め相続税率が60%だが、現金は相続税率が50%だ。このようなやり方で株式を子どもに事前に渡し、後で現金を相続すれば10%ポイントの税率を減らすことができる」と話した。これに対してLG側は「時価に影響を与えないため同時に売り買い注文をした」とし、「大株主の株式取引内容はずっと公示してきた。金額も1人当たり1年に1億ウォンの割合で、税金を意図的に減らそうとしたのではない」と釈明した。

■大株主の特殊関係者だけ約30人…オーナーの責任は免れず

 LGの「脱税取引」の'慣行は、2003年の持株会社への転換時にさかのぼる。2003年初めにはク前会長をはじめオーナー一族と親戚・姻戚70人余りがLG持分の44%を一緒に保有していた。一種の家族共同所有構造だ。9月現在、LGはク・グァンモ会長ら親戚一族30人と財団2カ所が持分45%を分けて保有している。検察は、LGが自主的に経営権防御に必要不可欠な持分率を46~48%に定め、これに該当する株式は外部に流出しないように特殊関係者間で取引をしたと見ている。

 LGの「脱税取引」には前オーナーであるク前会長はもちろん、現オーナーであるク・グァンモ会長、ク会長の叔父のク・ボンジュン副会長などが全て含まれている。彼らは持分を購入しただけのため検察の起訴対象からは除外された。しかし、彼らの指示で動く持株会社の財務管理チームが実務を総括したという点から道義的責任を避けられない。

 これに対してLG側は「国税庁と検察が過去とは違う課税基準を適用している」と反発している。LG関係者は「大株主が上場株式を不特定多数が参加している場中で相場通りに売却し、その基準で譲渡所得税を申告した」とし、「課税当局が割り増しした価額で申告しなければならないという新たな意見を提示し、裁判所の判断を受けることになった」と話した。

チェ・ヒョンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/865149.html韓国語原文入力:2018-10-10 08:21
訳M.C

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