登録 : 2017.10.26 09:26 修正 : 2017.10.26 14:14

資産3兆ウォン台の思潮グループ、 
仕事の集中発注で「オーナー3世」に相続完了 
「神トゥギ」と称賛されたオトゥギも 
仕事の集中発注で恥さらし 
中堅企業規制が不十分で死角地帯放置 
食品・自動車部品・製薬など、全産業に広がり 
ホン・ジャンピョ経済首席も「企業規模には関係なく規制すべき」

グラフィック=キム・スンミ//ハンギョレ新聞社
 思潮(サジョ)グループは韓国の遠洋漁業を代表する企業だ。1971年に設立された思潮は、積極的な買収・合併で36の系列会社(海外法人を含む)を率いる資産3兆ウォン(3千億円)台の企業に成長した。思潮グループはツナ缶、マテガイのむき身、かまぼこ、食用油などを販売しているため消費者になじみ深い。しかし、この中堅グループの企業支配構造がどうなっているかは、外部にあまり知られていない。この会社はいわゆる「仕事の集中発注」を通じてすでに「オーナー3世」への便法的な相続が事実上完了した状態だ。思潮をはじめとする中堅企業が財閥の大手企業らの便法的相続形態をそのまま追従しているが、彼らに対する規制は放置されている。

 思潮グループの便法相続の手法を見れば、大企業に勝るとも劣らない。このグループの中心会社は7千億ウォン(約700億円)の売上を上げる思潮産業だ。ところが、思潮産業の筆頭株主はオーナー一家ではなく、思潮システムズという系列会社(23.75%)だ。思潮システムズは不動産賃貸業、サービス・警備業、情報処理などをする非上場会社で、ほとんどが系列会社の仕事で売上を上げている。思潮システムズの大株主は長男である「思潮ヘピョ」のチュ・ジホン常務(40・39.7%)、思潮産業のチュ・ジヌ会長(68・13.7%)だ。チュ会長親子の個人会社と変わらない。思潮グループの支配構造は「チュ・ジホン常務→思潮システムズ→思潮産業→思潮ヘピョ・思潮大林(テリム)・思潮シーフードなど」の系列会社につながっている。持分だけ見た時、すでに3世に継承が完了した状態だ。

 チュ常務はシステムズを通じて、父が保有した思潮産業の持分を受け継ぐ形で継承を終えた。チュ会長は2015年8月と2016年10月、思潮産業の持分75万株(15%)を思潮システムズに売った。また、思潮システムズは2015年12月、思潮産業の持分33万9000株(6.78%)を保有した思潮インターナショナルと合併した。こうして思潮システムズの思潮産業持分は2014年の1.97%から2年で23.75%に跳ね上がり、グループ支配力を備えるようになった。

 思潮システムズは株の購入に約480億ウォン(約48億円)を使ったが、購入資金は仕事の集中発注で用意することができた。1982年に設立された思潮システムズは資本金が2億7千万ウォン(2700万円)に過ぎなかったが、系列会社の内部取引で急速成長を遂げた。2010~2016年は内部取引の割合が56~91%で、系列会社からの受注で売上を上げた。売上は2010年の57億ウォンから昨年は318億ウォンになり、6年間で6倍に増えており、資産も同じ時期に241億ウォンから1541億ウォンへ6倍以上に膨らんだ。チュ常務がチュ会長の思潮産業の株式75万株を譲り受けたならば、240億ウォンほどの贈与税を払わなければならない。しかし、チュ常務は思潮システムズを利用し、資産3兆ウォン台のグループを税金を一銭も納めずに支配するようになった。典型的な「便法継承」という批判に対し、思潮グループは「ノーコメント」と明らかにした。

 このような思潮の姿は、財閥の大手企業が1990年代後半~2000年代初めに主に使った便法相続の手法だ。サムスンや現代自動車、SK、ハンファなどは、トップ一家の持分が多いシステム統合(サムスンSDS・SK C&C・ハンファS&C)や物流(現代グロービス)などを担当する系列会社に仕事を集中発注させ継承資金を用意したり、支配構造の頂点に上る方法を使用した。これらの大企業が仕事の集中発注を通じての便法的相続の扉を開き、その後を中堅グループが追った格好だ。資産5兆ウォン未満の中堅企業の集中発注は、食品・製薬・自動車部品・製パン・化粧品・家具・建設業界など、産業全般に広範に広がっている。経済改革研究所の資料によると、オトゥギ、農心(ノンシム)、韓美サイエンス、ネクセン、豊山(プンサン)、SPC、ハンイルセメント、高麗製鋼、ヨンウォン貿易、緑十字ホールディングス、東西、ハンセムなど、資産5兆ウォン未満の普通の中堅企業はほとんどが仕事の集中発注の疑惑を受けている。

 「神トゥギ(ゴットゥギ)」と称賛されたオトゥギも仕事の集中発注と言う点では顔を上げられない。オトゥギグループは20社(海外法人を含めて)の系列会社があり、資産は2兆8千億ウォン台だ。核心企業の一つであるオトゥギラーメンは、昨年の売上5913億ウォンのうち5892億ウォン(99.6%)がインサイダー取引で発生した。オトゥギラーメンがラーメンを作ると、オトゥギはそのラーメンを購入して販売する方式だ。非上場会社のオトゥギラーメンの最大株主は35.63%の持分を持つハム・ヨンジュン・オトゥギ会長(58)であり、一番多くの利益を得る。オトゥギラーメンだけでなく、オトゥギ物流サービス(78.9%)、オトゥギSF(75.3%%)、RDS(72.3%)、サンミ食品(98.8%)なども内部取引の割合がかなり高い。韓国企業支配構造院は、最近企業733カ所を評価した結果、オトゥギは支配構造の項目で最も低い「D級」を受けた。

 売上のすべてが内部取引という極端なケースもある。自動車部品を生産する資産3兆ウォン台のソンウハイテックグループの場合、系列会社であるアイゾーン、ANM、ソンウハイテック仙掌の売上の100%が内部取引だ。仕事の集中発注の恩恵を受けている3つの企業はいずれもソンウハイテックのイ・ミョングン会長(73)と妻、子どもたちが持分を持つ家族会社に近い。アイゾーンは自動車部品製造・販売業を営む非上場会社だが、イ・ミョングン会長が23.97%、長女のイ・ボラム氏が76.03%の持分を持っている。アイゾーンは2010~2016年に内部取引が100%だった。仕事の集中発注で「濡れ手に粟」式に売上を上げたオーナー一家は相当に多くの配当金を得た。

 財閥に劣らず中堅企業も「仕事の集中発注」による富の便法相続が成立するが、規制装置が不十分で事実上放置されていると指摘されている。公正取引法は資産総額5兆ウォン以上の大手企業集団に属した会社が、トップ一家の持分が一定割合(上場会社30%、非上場20%)を超える系列会社と200億ウォンまたは売上の12%以上の内部取引をする場合について規制している。一方、資産5兆ウォン未満の中堅企業の仕事の集中発注は、規制を受けていない。経済改革研究所のイ・ウンジョン研究委員は「企業の支配株主たちが仕事の集中発注を持続する理由は、相続などのための資金調達が容易であるため」とし、「仕事の集中発注が公正競争を阻害しているという点で、企業の規模と関係なく統制しなければならない」と話した。

 これに関連した政府の対応も注目される。ホン・ジャンピョ大統領府経済首席は、経済首席に抜てきされる直前の6月に書いた論文で「大手企業にだけ適用される仕事の集中発注など不当な内部取引の規制を、全ての企業に拡大しなければならない」と主張した。彼は学術誌『経済発展研究』に掲載された同論文で「垂直系列化した企業における内部取引は、効率性を増進させることよりも仕事の集中発注など支配株主の私益追求のための道具として活用される」とし、「それだけ革新活動をなおざりにすることで、長期的には企業の競争力が損なわれる可能性が大きい」と指摘した。

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-10-25 21:49
http://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/816045.html 訳M.C(3369字)
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