米中「貿易戦争」は、単純な通商紛争を越えて、経済構造を先端技術中心に再編しようとする中国とこれを阻止しようとする米国の間の激突の性格を帯びている。経済と安保を合わせた“G2”の覇権対決と見ることができる。ブルームバーグは4日「中国と米国の権力闘争は始まったばかりだ」と指摘した。
米国が先月15日に発表した対中関税の賦課対象は、航空宇宙、情報通信、ロボット工学、新素材など先端技術製品を含む1102品目だ。このうちの多くは、先端産業育成計画である「中国製造2025」と直接結びついている。中国が先端技術分野で抜きんでる可能性に対して米国は警戒を示した。北朝鮮核問題や南シナ海領土紛争など政治・軍事の側面で中国と緊張関係を形成してきた米国は、貿易戦争を通して中国が覇権的地位に上がれないよう意欲を失わせる態勢だ。米国は国内的にも「中国阻止」という大きな方向に対する共感が広く形成されている。
だが、ドナルド・トランプ大統領もリスク負担を抱えている。全世界に投下した鉄鋼・アルミニウム“関税爆弾”は、米国内でのコストアップなどの副作用を生んでいる。オートバイメーカーのハーレー・ダビッドソンは、海外工場拡張方針を発表した。トランプ大統領は貿易戦争を通じて11月の中間選挙で低所得白人労働者の支持を得るかもしれないが、関税効果による価格上昇は消費者負担の増加と働き口の減少を呼び起こし、墓穴を掘りかねない。
中国もひとまず退かない態度を明確にしている。習近平国家主席が中国を2050年までに世界最強国に浮上させるという「中国の夢」の青写真に、先端技術の確保は必須だ。習主席は最近、西欧の経営者を集めて「西洋には“右頬を打たれたら左頬も差し出せ」という話があるが、私たちの文化では(一発殴られたら)パンチで対応する」として強い決意を見せた。中国は米国に代わって自由貿易の守護者の役割を自認し、国際的影響力の拡大を図っている。
だが、貿易構造上、中国がもっと大きな被害を受けるしかないというのが悩みだ。昨年、米国の輸出に中国が占める比重は8.4%である反面、中国の輸出に米国が占める比重は18.9%だった。貿易軋轢が高まった過去一カ月間、米国証券市場は2.5%ほど落ちた反面、中国の証券市場は10%以上下落した。