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韓国財閥の経営権継承で改革を模索 保守・革新の合同討論会

登録:2015-12-01 00:20 修正:2015-12-01 06:23
保守キム・ジョンホ氏「専門経営者制、大株主がいないポスコなどで実験すべき」 
進歩キム・サンジョ氏「財閥オーナー、持株会社理事会議長に役割転換を」

 韓国社会の根深い陣営論理を打破し改革を模索する保守・革新の合同討論会が開催された。財閥の経営権継承問題と関連して革新側の提案をしたキム・サンジョ漢城大教授は、財閥“所有経営体制”の弊害を解決するための代案として財閥オーナー家がこれまでのように最高経営者(CEO)になるのではなく、持株会社理事会議長を務め、経営は専門経営者に任せ、自らは成果を評価・管理する役割に切り替える方案を出した。保守側発表者であるキム・ジョンホ延世大経済大学院特任教授は、所有経営体制の代案もなく経営権の継承を阻むことに反対し、専門経営者体制が果たして可能かをポスコなど大株主のいない企業を通じて実験してみようと提案した。

キム・ジョンホ延世大経済大学院特任教授
「専門経営者体制がうまく機能するなら
敵対的M&Aを通じて無能は退出すべき」

キム・ジョンホ教授//ハンギョレ新聞社

■評価

 キム・サンジョ教授は1987~2015年の28年間、公取委が毎年指定したオーナーがいる30大グループの変動を分析した結果、30大グループに一度でも含まれたグループは77グループあり、今年現在の30大グループを除く残り47グループが脱落したと述べた。 これら47グループのうち大宇・起亜など28グループ(59.6%)が1997年の外国為替危機を経て事実上解体された。 キム教授は「財閥を代表する30大グループの地位も安定的ではなく、多くのグループが浮沈を繰り返した」と強調した。キム教授は2008年グローバル危機以後に構造調整が遅れ不良経営が慢性化・悪性化され、2015年現在の30大グループの中でも、現代、韓進(ハンジン)、錦湖(クムホ)アシアナなど7グループが構造調整を進めるほどに潜在不良が深刻だとし、今後の経済回復展望が暗いため、一層多くのグループが似たような運命をむかえると見通した。 キム教授は30大グループのうち汎サムスン3グループ(サムスン、新世界、CJ)、汎現代5グループ(現代自動車、現代重工業、現代、現代百貨店、KCC、汎LGグループ(GS、LS)、SKなど汎4大財閥の親族グループが12グループ(40%)に達しており、韓国財閥が少数の最上位財閥の親族グループによって支配されており、企業家精神と躍動性が低迷する悪循環に陥っていると指摘した。

 キム・ジョンホ兼任教授は「財閥経営権の継承に反対する意見に十分共感できるところはあるが、当然な代案を提示せずに経営権の継承を阻むことには反対する」として「所有経営体制を否定するならば、従業員や政府が最高経営者を選定する可能性が高くなるが、これはオーナー経営より一層劣る可能性が高い」と主張した。さらに米国のような専門経営者体制も集団的意志決定がうまくいかず、労組が強い韓国では定着が難しいと話した。

キム・サンジョ漢城大教授
「30大グループのうち12グループが4大財閥の親族企業
持株会社転換などに対する規律が空白」

キム・サンジョ教授//ハンギョレ新聞社

■解決法

 キム・サンジョ教授は「かつて韓国が“追撃者”だった時期には資源動員型リーダーシップが最高経営者の主な徳性だったが、今後は誰も行ったことのない道を進まなければならない“開拓者”になった状況では、管理・調停者の役割がさらに重要になった」として、「財閥1~2世代には総帥一家が最高経営者として経営判断を直接したが、3世代では持株会社理事会議長を務めてグループ全体の成果評価、危険管理などの役割に切り替える必要がある」と提案した。

 キム・ジョンホ特任教授は「(所有経営体制の代案である)専門経営者体制がうまく機能するには、無能な経営者を退出させる敵対的M&A市場が作動しなければならない。 ポスコ、KT、KT&Gなどの公企業出身で大株主がいない企業を通じて実験してみよう」と提案した。

 キム・サンジョ教授は「総帥一家の不法・不当な経営権継承に対する規律装置は非常に改善されたが、仕事集中割当て、および会社機会の流用については依然として死角地帯があり、これを通じて蓄積した2・3世の富をグループ支配権に連結するための持株会社転換に対する規律は空白状態」と指摘した。 キム教授は、フランス最高裁が1985年から適用した「ローゼンブルム原理」を商法に導入することを提案した。 ローゼンブルム原理は、従属会社がグループ全体には利益になるが自身には一時的に損失となる指示を受け入れる場合、民刑事上の免責を認める条件をいう。キム教授は循環出資規制など公正取引法上の経済力集中抑制策の適用対象を、現行の資産5兆ウォン以上(61グループ)から、最上位の5~10大グループと系列分離された親族グループに減らす案も出した。

 キム・ジョンホ特任教授は「誰が経営権を継承しても、創業者である1世代企業家ほどにはできないのに、2・3世継承の弊害だけを問題視して阻むならばさらに大きな弊害を産みかねない」として「むしろ経営権継承時の相続税を30%割り増しする制度を改善して経営権相続をより簡単にしなければならない」と主張した。

クァク・ジョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/719716.html 韓国語原文入力:2015-11-30 20:02
訳J.S(2326字)

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