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韓国の億万長者10人のうち7人は「相続者たち」

登録:2016-03-14 21:52 修正:2016-03-15 14:04

イ・ジェヨン、ソ・ギョンベなど、30人のうち74%を占め 
米国29%、中国2%よりもはるかに高い 
独立独行型の成功が増えている世界的傾向とは逆 
「1980年代に財閥中心の構造再編行われたのが原因」

 韓国の億万長者のうち74%は、自力で成功したわけではなく、先代から財産を受け継ぎ、スーパー金持ちになったことが分かった。これは、独立独行型の億万長者が増えている世界的な傾向に逆らう流れだ。

2015年世界主要国の億万長者(単位:%、資料:ピーターソン国際経済研究所)//ハンギョレ新聞社

 米国のピーターソン国際経済研究所(PIIE)は先月末、米経済誌フォーブスが1996年から2015年まで毎年発行した資産10億ドル(1兆2千億ウォン=約1147億9000万円)以上の億万長者リストを分析した。韓国では昨年、サムスン電子の李健煕(イゴンヒ)会長(96億ドル・112位)、アモーレパシフィックのソ・ギョンベ会長(77億ドル・148位)、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長(60億ドル・201位)など30人の億万長者がいると集計され、このうち74.1%は先代から財産を受け継いだ「相続型」の金持ちであることが分かった。

 これは、相続型の億万長者の世界平均割合である30.4%の2倍を超える数値だ。創業者、専門経営者など「独立独行型」の億万長者が相続型の億万長者を上回った世界的な傾向とも異なる流れだ。世界的に相続型の億万長者の割合は、1996年の55.3%から減少を続け、2014年には30.4%にとどまった。韓国より相続型の億万長者の割合が高い国は、クウェート、フィンランド(100%)、デンマーク(83.3%)、アラブ首長国連邦(75%)などだったが、これらの国の億万長者の数は5人以下で、統計的にあまり意味がない。

 主な経済大国の米国と中国、日本における相続型億万長者の割合は、それぞれ28.9%と2%、18.5%だった。相続型金持ちの割合が高いヨーロッパのドイツとフランスもそれぞれ64.7%と51.2%で、韓国よりは低かった。このうち、中国と日本の創業型億万長者の割合は、それぞれ40.1%と63%で、韓国の18.5%より大幅に高かった。昨年、世界の億万長者の数は70カ国で1826人だった。

 財閥ドットコムのチョン・ソンソプ代表は14日、「1980年代以降、韓国経済は大企業、財閥中心の構造に再編されたため、大規模の事業基盤や資本を持たない人は、事業的に大きな成功を収める余地が急激に減少した。それに加え、従来の財閥が法の抜け穴を利用し、不正な相続などを行っているため、相続型の金持ちが量産されていると思われる」と述べた。彼は「相続型の金持ちが増えるのは、社会全体としては決して望ましくない。特定の集団に富が集中する現象がひどくなると、貧富の格差と二極化がさらに進む」とし、「これは経済全体の活力を失わせる」と指摘した。

 ピーターソン国際経済研究所は、今回発表した「スーパー金持ちの起源:億万長者の類型の資料」で、「スーパー金持ちはアジアを中心とした発展途上国で急速に増えている」と分析した。特に中国は10年前には2人に過ぎなかった億万長者の数が、昨年は2013人に、100倍以上に増えた。一方、日本は景気後退が進み、20年前の40人から昨年は24人に減った。同資料は、独立独行型の億万長者が世界で最も急速に増えている米国では、金融分野の億万長者の割合が27%に達し、このうち多くがヘッジファンド運用者という点も注目すべき現象だと指摘した。同研究所は「2001年情報通信(IT)創業ブームが独立独行の億万長者を増やすのに大きな役割を果たした」とし、「20年前に比べて億万長者がある国の数が40カ国から70カ国に増えており、40歳以下もしくは女性の億万長者の割合も急速に増えている」と分析した。

ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-14 19:18

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/734865.html 訳H.J

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