韓国政府がTHAAD(高高度防衛ミサイル)をめぐる中国の経済報復と関連し、世界貿易機構(WTO)に国際法違反の可能性を公式に提起した。
チュ・ヒョンファン産業通商資源部長官は20日、国会産業通商資源委員会に出席し、「今月17日、WTOサービス貿易理事会に観光・流通分野における中国の処置について、WTO協定に違反した可能性を正式に提起した」と述べた。韓国政府が問題視したのは、世界貿易機構の基本原則である「最恵国待遇」と「内国民待遇」協定の違反だという。最恵国待遇とは一国が他の国に付与する最も有利な待遇を他の協定相手国にも付与することであり、内国民待遇とは外国人を自国民と差別せず、同等に待遇することを指す。
今月16~17日(現地時間)スイスのジュネーブで開かれた世界貿易機構サービス貿易理事会に出席した産業通商資源部の関係者は「17日の会議で韓国側の発言が案件に採択されており、同日、韓国が中国のいくつかの具体的な処置を取り上げ、このような処置が世界貿易機構の規定違反の恐れがあり、中国に加盟国としての義務や規律を守ることを求めた」としたうえで、「ただし、これと関連して今後(調査など)いかなる手続きが進められるかについてはまだ確定していない」と話した。同日の理事会には中国を含めて世界貿易機構の加盟国全体が参加した。同関係者は「会議で中国など他のメンバー国がこれについてコメントした内容は公開てきない。同機構に紛争解決の目的で提訴したわけではない」と付け加えた。
THAAD報復と関連し、韓国政府が中国との2カ国間チャンネルのほかに多国間チャンネルを通じて異議を提起したのは、今回が初めてだ。産業通商資源部は今月10日、中国商務省所属の韓中自由貿易協定(FTA)担当首席代表宛に公式書簡を送り、韓国行きの団体旅行の禁止など、観光・流通分野における処置に対し異議を提起した。