グローバル金融危機の余波が深刻だった2009年以後、韓国で7年ぶりに初めて家計の実質所得が減ったことが分かった。昨年の家計消費支出は後退し、家計の費用を示す平均消費性向も歴代最悪を見せた。特に暮らし向きが苦しい低所得層を中心に所得が減り、貧富の格差が拡大している。良い働き口の拡大、最低賃金の引き上げなど、家計所得を引き上げる根本対策がなければ家計負債と所得崩壊で崩れた“家計経済”を生き返らせることは難しいと指摘されている。消費絶壁と内需沈滞にぶつかった韓国経済の困難も加重されるほかはない。
24日、統計庁が発表した「2016年第4四半期および年間家計動向」資料によれば、昨年の世帯当り月平均所得は439万9千ウォン(約43万円)で、前年より0.6%の増加に終わった。物価上昇分を差し引いた実質所得基準で見れば、0.4%減少した。実質所得が減ったのは、2009年(-1.5%)以来7年ぶりだ。企画財政部関係者は「景気回復が遅れて、造船業などの構造調整が本格化し雇用増加傾向が鈍化した。こうした点が家計所得で最も比重が大きい勤労所得を悪化させた」と話した。
家計は財布の紐をかたく引き締めている。昨年の家計消費支出は、所得基盤が動揺したうえに対内外不確実性まで重なって消費心理が悪化し、名目と実質基準の両方で減少傾向に転じた。世帯当りの月平均消費支出は255万ウォン(約25万円)で前年より0.5%減少したが、名目支出が減ったのは2003年の統計作成以来初めてだ。実質消費支出も1.5%も減った。家計は食や衣など基本的に使わざるをえない多くの品目で財布の紐を引き締めた。食料品(-1.3%)、衣類・靴(-2.4%)、交通(-4.3%)、通信(-2.5%)、娯楽・文化(-0.2%)、教育(-0.4%)で支出が減った。可処分所得に消費支出が占める比重を意味する平均消費性向は71.1%で歴代最悪だった。
特に低所得層であるほど体感する苦痛は大きいものと見られる。低所得層である所得1分位(所得下位20%)世帯の月平均所得は144万7千ウォン(14万4千円)で前年より5.6%も減り、史上最大幅の減少を示した。所得下位20~40%に属する2分位も291万4千ウォン(29万円)で0.8%減少した。一方、高所得層の5分位(上位20%)世帯の所得は834万8千ウォン(83万円)で2.1%増えた。これに関して所得の不平等強度を示す「所得5分位倍率」は4.48倍で、前年(4.22倍)より上昇して貧富格差が大きくなった。この数値は2008年(4.98倍)以来、8年ぶりに上昇に転じた。