2015年にも所得不平等はやや緩和されたことが分かった。税金と福祉を通じた政府の再分配政策が強化されたことによる結果だ。しかし、政府の再分配政策を考慮しない市場の所得における不平等は、関連調査が始まって以来、4年ぶりに悪化したことが分かった。この流れは2016年にも続いたとみられる。
20日に発表された「家計金融・福祉調査」結果によると、2015年の可処分所得を基準としたジニ係数は0.341で、1年前より0.003ポイント下がった。代表的な所得分配指標であるジニ係数は、1に近いほど所得分配が不平等で、0に近いほど所得が平等に分配されていることを意味する。可処分所得を基準としたジニ係数は、同調査が始まった2011年(0.357)以来下落を続けてきた。上位20%の所得が下位20%の所得の何倍かを示す5分位階級所得割合も、1年前より0.10ポイント低い6.43倍だった。この指標もジニ係数同様、2011年から減少を続けてきた。
しかし、数年間続いたこの分配改善の流れが、今後も続くかは不透明だ。現在、推定可能な指標を総合してみると、改善の流れは昨年を最後にして、今年からは悪化した姿を見せる可能性が大きい。まず、政府の再分配政策を考慮しない所得を意味する市場所得を基準としたジニ係数と5分位階級所得割合が共に1年前よりそれぞれ0.001ポイント、0.32ポイント高まった。
今年に入って低所得層を中心に所得減少幅が拡大している点を念頭に置くと、年間市場所得を基準とした分配指標はさらに悪化したものとみられる。統計庁が3カ月ごとに調査・発表する「家計動向」によると、所得1分位は今年に入って3四半期連続で前年同期に比べて所得が減少したが、同じ期間の所得5分位世帯の所得は増え続けた。ハンギョレが今年第1~3四半期の月平均世帯所得(経常所得基準)を計算した結果、所得1分位は133万8千ウォン(約13万2千円)で、一年前より2万ウォン(約1980円)程度減り、所得5分位は821万9千円(約81万2千円)で同じ期間に23万4千ウォン(約2万3千円)増えた。これによって、今年第1~3四半期の5分位階級所得割合は1年前の5.69倍から6.14倍に跳ね上がった。韓国労働研究院のイ・ビョンヒ先任研究委員は「(政府の)再分配政策効果で可処分所得基準の所得分配は改善されているが、市場における不平等は深化している。特に、雇用創出の鈍化と産業構造の調整により勤労所得が減り、自営業の萎縮によって事業所得が減少したことが大きな原因となっている」と指摘した。