「野党の攻勢今回はOK。だが来年の大統領選挙前に、または政権交代時に検察捜査の可能性。NGOなどが告発し検察の捜査が開始されれば我々は資料を提出しなければならない。サムスン爆発的…プログラム一旦中止…情報ソース取り締まり」
大韓乗馬協会会長のパク・サンジンサムスン電子社長が昨年9月27日、ドイツでチェ・スンシル氏に会った後作成したメモの内容だ。検察特別捜査本部は昨年11月初め、ソウル瑞草洞(ソチョドン)のサムスン電子本社のパク社長の執務室を家宅捜索する過程で、ドイツ・フランクフルトのホテルのロゴが印刷されたメモ用紙3枚を確保したという。パク社長が作成したと思われる同メモは、パク・ヨンス特別検察官チームがサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の容疑を立証するため、最も集中して調べていた時期(2016年9~10月)に作成された。特検チームが14日、イ副会長とパク社長を一緒に賄賂供与の疑いなどで事前拘束令状を請求した理由の一つだ。
イ副会長の最側近が、サムスンを「爆発」させるほど危険な内容を持って国政壟断の主役であるチェ氏に会いに急いでドイツに渡った理由は何だったのか。当時の野党はチェ・スンシル氏の国政壟断を知らせたハンギョレの最初の報道(9月20日)の後、国会国政監査を通じてミル・Kスポーツ財団の設立疑惑とサムスンがチェ氏の娘のチョン・ユラ氏にドイツ現地で馬(ビタナV)を買ってあげたという疑惑(9月23日)を繰り返し提起した。しかし、セヌリ党と政府はこれをすべて否定し、サムスンも「馬を買い与えた事実はない」と全面否定した。
しかし、このような釈明を出してからわずか4日で、サムスンのパク・サンジン社長は危険を冒して直接チェ氏に会いにドイツまで行っている。チェ氏親子は、パク社長に会った直後の昨年10月、ビタナVなどサムスンが購入した馬3頭を処分し、再び「ウラジミール」と「スターシャ」という馬を保有するようになる。特検チームはチェ氏親子が新たに購入した馬も「秘密の裏契約」を通じてサムスンが買った情況などをくまなく確認したという。パク社長もまた「ビタナVの成績が上がらない」とし、“代替馬”の物色と“送金”方法などをメモ紙に具体的に書いておいた。サムスンとしては、チェ氏の国政壟断とチョン・ユラ氏の乗馬訓練に対する支援の事実が暴露された後も、むしろ秘密裏に巨額の追加支援をする常識外れの行動をしていたということだ。パク社長はまた、「(チェ氏の)馬に対する欲がそのまま」だとし、依然として“堂々と”新しい馬を買ってくれと要求したチェ氏の行動に不快な感情も書いた。
パク社長のメモは、当時サムスンが感じた危機感をそのまま伝えている。当時野党の攻勢は、セヌリ党の肉弾防御と黄教安(ファン・ギョアン)首相、チョ・ユンソン文化体育観光部長官の「知らぬフリ」答弁に阻まれていた。サムスンとしては当面の危機は免れるかも知れないが、1年後の大統領選を前後に政治的状況が急変した場合は検察捜査が避けられず、その衝撃は爆発的だと見通したのだ。
特検チームは、このような状況でも常識を外れた「サムスン-チェ・スンシル秘密裏契約」が行われた核心の連結の輪として朴槿恵(パク・クネ)大統領を睨んでいる。サムスンは、大統領と陰の実力者の「強要」でお金をまきあげられたのではなく、イ副会長の経営権引継ぎと関連した「不正な請託」を成功させる見返りとして、危険を甘受してまで積極的に賄賂を与えざるを得なかったということだ。
一方、チェ氏は偽造携帯を通じて2015年12月から昨年8月まで、サムスン側と230回あまり通話とショートメールを交わしたとされている。主にサムスン電子のファン・ソンス専務(大韓乗馬協会副会長)と連絡していたという。