中国の鉄鋼企業による低価格攻勢に対抗してヨーロッパ連合(EU)と米国が反撃に出た。 世界の鉄鋼生産の半分を占め、供給過剰の震源地になった中国に対する本格的牽制が最近回復傾向を見せている韓国の鉄鋼産業に反射利益をもたらすか、あるいは飛び火を浴びるか注目される。
KOTRA(大韓貿易振興公社)ベルギーのブリュッセル貿易館は、ヨーロッパ連合執行委員会が先月30日から域外産鉄鋼製品に対する監視制度の施行に入ったと4日明らかにした。 この制度は2020年5月15日まで施行される。
これまでヨーロッパの鉄鋼企業は、怒濤のように押し寄せる中国産低価格製品のために自国産業が枯死しかねないとして、中国産製品を制裁してほしいと要求してきた。 これに対しヨーロッパ連合執行委が域内の外国製のうち、特に中国産に焦点を合わせた輸入監視制度を導入した。 執行委は「鉄鋼産業の生産過剰と不公正競争問題を解決するためにこのような措置を施行する」とし、過剰生産の主な原因として中国を挙げた。
この制度の導入でヨーロッパ連合の輸入企業は鉄鋼製品を輸入する際に物量と金額を記入した監視書類を当局に提出し、執行委は加盟国に伝達された情報を総合して鉄鋼輸入の推移と現況を把握し管理する。 ヨーロッパ連合の執行委がこの制度の施行結果を輸入規制の根拠として活用する可能性が高いと外信は見ている。 ブリュッセル貿易館は「この制度は追加的輸入規制を念頭に置いた措置と判断される」として「リアルタイムの輸入規模モニタリングにより、反ダンピング・相殺関税はもちろん、緊急輸入規制措置を発動する可能性も排除できない」と分析した。
米国も中国産鉄鋼に対する規制の手綱をつかんだ。 米国最大の鉄鋼メーカーであるUSスティールは先月27日、「中国鉄鋼企業40社余りが米国の関税法337条に違反した」として、米国際貿易委員会(ITC)に提訴した。 米国の関税法にともなう貿易規制は課徴金を賦課する一般的制裁とは異なり、輸入禁止命令や差し押さえのようなはるかに強力な制裁を加えることができる。 USスティールは中国政府側のハッカーが主要競争分野である自動車用軽量鋼板技術を盗み出したと主張している。
米国商務部は今年、韓国をはじめとする世界各国の鉄鋼製品に対して反ダンピング関税予備判定を下しているが、中国産に対しては相対的に高率の関税賦課を推進している。
ヨーロッパ連合と米国の動きは、中国産低価格品のために苦戦してきた自国業界の要求を受け入れ、本格的な牽制と圧迫に乗り出したと見ることができる。 昨年、中国の鉄鋼生産量は8億400万トンで世界生産の半分程度を占めた。 中国の過剰生産規模は3億5000万トンで、ヨーロッパ連合の年間生産量より二倍程度多いと推算される。 中国政府は今年2月「今後5年間、最大1億5000万トンを縮小する」という計画を出したが、世界の鉄鋼業界は中国が設備を減らしても供給過剰は容易に解消されないと見ている。