債権団に対し自律協約申請へ
弟の夫人の前CEOチェ・ウンギョン氏
本人と2人の娘が保有する株式97万株売却
不良責任大株主「モラルハザード」論議
韓進(ハンジン)海運が韓進グループのチョ・ヤンホ会長の経営権放棄を受け容れ、25日に債権団に対して自律協約(債権団管理)を申請することにした。 チョ会長が2014年4月に弟の嫁のチェ・ウンギョン・EUSUホールディングス会長から経営権を譲り受け2年ぶりだ。 しかしこれに先立ちチェ会長は、本人と2人の娘が保有していた韓進海運の株式約97万株(0.39%、27億ウォン余)を全て売却していたため「モラルハザード」が問題にされそうだ。 韓進海運不良の責任が少なくない前最高経営者であり、大株主一家であるチェ会長が自律協約の可能性が高まるや損失を避けるために株式を売却したのではないかという疑いが起きているためだ。
韓進海運は22日、臨時理事会を開き債権団に自律協約を申請することを決議したと公示した。 韓進海運のある理事はハンギョレの電話取材に「チョ会長が経営権を放棄しても良いと方針を定めた」と話した。 韓進海運はこれまで流動性の確保と財務構造改善のために1兆7千億ウォン(約1600億円)規模の専用船部門を売却し、大韓航空が4千億ウォン(約390億円)規模の有償増資に応じるなどの自助努力をしてきた。 だが、正常化には限界があると見て、先月イ・ドンゴル産業銀行会長がチョ会長に会い、私財の出資と経営権放棄を要請した。 金融当局の高位関係者は「経営権放棄だけで終わっては“尻尾切り”という非難が起きかねない。 責任ある姿を見せるには追加で何かを出さなければならないのではないか」と話した。
チョ会長が韓進海運の自律協約申請を決めたのは、追加支援に乗り出す場合、グループ全体が危機に陥りかねないと判断したためと見られる。 韓進海運は昨年末基準で借入金が5兆6千億ウォン(約5400億円)で、今年返済を要する利子費用だけで3300億ウォン(320億円)に達する。 これによりチョ会長が韓進海運の代表に就任して明らかにした「天、地、海を結ぶ物流総合企業」の夢は水泡に帰す可能性が高まった。
一方、韓進海運は2014年に経営から退いたチェ・ウンギョン会長と二人の娘チョ・ユギョン、ユ・ホン氏が韓進海運株式の持分全量を売却したと21日公示した。 チェ会長は2006年、夫であるチョ・スホ前会長が亡くなった後に経営権を握ったが、在職期間中に無理な拡張経営で不良資産を増やしたという指摘を受けてきた。 それにもかかわらず自律協約を数日先に控えて保有していた株式を全量売却したことは道徳的非難を免れがたい。 韓進海運が債権団管理に入る場合、大株主に対する減資や債権団出資転換などの自己救済策が用意されることになり、今後の株価下落が予想されるためだ。 韓進海運側は「持分処分の事実を事前には全く知らず、相談されたこともない」と説明した。 これと関連して金融監督院は「内部インサイダー情報利用の有無を調べる」と話した。