世界3大格付け機関の一つのムーディーズが、韓国の国家信用格付けをAa2に、従来よりも一段階格上げした。財政の健全性が良好で、経済成長も比較対象国に比べて高いという理由からだ。
ムーディーズは18日(現地時間)、韓国の国家信用格付けをAa3からAa2に一段階上方調整したと発表した。格付けの見通しは「安定的」(Stable)と評価した。これに先たち、今年4月、ムーディーズは、従来の評価(Aa3)を維持しながらも、格付けの見通しを安定的から「肯定的」(Positive)に変更し、格上げの可能性を示唆した。国の信用格付けは、国が債務を履行する能力がどれくらいなのかを評価するものだ。信用の格上げは、韓国政府や企業・金融機関などが国外から資金を借りる際、金利を下げる効果をもたらす。
ムーディーズの格上げは2012年8月27日以降、3年4カ月ぶりのことだ。韓国に対するムーディーズの評価は、1997年の通貨危機の余波で一時は投機レベルのBa1(1997年12月21日〜1999年2月12日)まで下落してから、2000年代初めの「カード大乱」の時期(2003年3月12日〜2004年6月11日)を除けば、着実に上昇してきた。今回の評価Aa3は史上最高レベルであり、それ以上の評価を受けている国は、米国・ドイツ・カナダ・オーストラリア・シンガポール(Aaa)、英国・香港(Aa1)、フランス(Aa3)の8カ国だけだ。日本(A1)や中国・台湾(Aa3)は韓国よりも評価が低い。
ムーディーズは格上げの背景として、まず「健全な財政状況」を挙げた。統合財政収支が2010年から2014年まで年平均国内総生産(GDP)比1.1%の財政黒字を出しており、比較対象のAa1〜3の評価を受けている非産油国が同じ期間1.3%の財政赤字を出しているのに比べ、良好なものとして評価された。ムーディーズはまた、韓国政府が労働、公共、教育、金融部門の構造改革を進めている点も評価の上方調整の背景として挙げた。
リスク要因としては、中国経済と世界貿易の鈍化が輸出に依存している韓国経済に課題として残っており、国内総生産の80%を超える高い家計負債レベルも、来年の経済に悪影響を及ぼしかねないとムーディーズは指摘した。高齢化現象と不十分なセーフティネットも、今後の成長と財政の健全性に障害要因となる可能性があると、ムーディーズは強調した。
最近、米国連邦準備制度(Fed)の利上げをきっかけに、国際金融市場の変動性が大きくなった状況で発表された今回のムーディーズの格上げは、外貨資金離脱などの市場変動を減らすのに、肯定的な影響をもたらすものと見られる。
チェ・ギョンファン副首相兼企画財政部長官は20日、政府ソウル庁舎で記者会見を開き、「今回のムーディーズの決定は、米国の利上げで、新興国からでお金が流れるかもしれないとの懸念が広がっている中で、韓国は他の新興国とは異なるという点を知らせたことで、大規模な資本流出を防ぐシールドのような役割を果たすだろう」と述べた。
韓国語原文入力:2015-12-20 21:17