米国の対日関税即時撤廃率低い
韓米FTA先行効果は当分持続
原産地規定、加盟国に統一適用
輸入中間財に対しても関税恩恵
産業部「国益を見定め立場整理」
「市場接近と全規範分野で全般的に韓米自由貿易協定(FTA)と類似したレベルと把握される」(産業通商資源部キム・ハクト通商交渉室長)
5日、環太平洋経済パートナー協定(TPP)協定文公開後の政府の反応は「直ちに心配する内容ではないが詳細に調べる」程度のものに要約される。実際の市場接近度に関してTPPで合意した関税撤廃率95~100%は、政府が結んだ既存の自由貿易協定のレベルと似ている。韓米FTAの関税撤廃率は95.8%、韓国・オーストラリアFTAの関税撤廃率は96.7%、韓国・カナダFTAの関税撤廃率は95.9%だ(2017年1月基準)。
また、産業部は「工業製品の場合、TPPで米国の対日関税即時撤廃率(輸入額基準)は67.4%になるが、すでに発効され関税撤廃がかなり進んだ韓米自由貿易協定では、2017年1月基準で米国の関税約95.8%がなくなる」とし、「(個別にFTAを結んだ)主な市場での先行効果が持続すると予想する」と説明した。
だが韓米FTAにはない「国営企業」「協力および力量強化」「競争力およびビジネス促進」「開発」「中小企業」「規制調和」等が新たに追加された貿易規範分野には注目する必要がある。キム・ハクト室長もこの日のブリーフィングで「TPPの規範分野が今後グローバル通商市場で規範化される可能性が高く、韓国の経済での関連制度改善の側面で積極的な検討が必要」と説明した。
新たな規範の中では原産地規定の統一が目を引く。FTAごとに原産地規定が異なり、輸出企業は国ごとに協定内容により異なる対応を迫られていたが、12の加盟国が基準を統一すれば企業の行政費用が節減され、効率性を増大できる。原産地完全累積規定も加盟国間の交流と貿易を増やすものと見られる。既存のFTAでは中間財を第3国から輸入して完成品を作った場合は関税恩恵を受けられなかったが、今回の協定では中間財を加盟国から持ってきた場合には関税恩恵を与えることにした。
これ以外に、公正な競争基盤を作るため民間企業が国営企業と公正に競争できる基盤を作るようにさせ、環境分野で生物多様性と海洋汚染防止、水産補助金禁止など国際的に議論されてきた問題が追加された。
TPPと関連した最も大きな課題は韓国政府が参加を決めるかだ。産業部は「協定文を分析して韓国経済に及ぼす細部的な影響を徹底的に分析し、公聴会と国会報告など通商手続き法にともなう一連の手順を踏み、国益を最大化する方向で立場を最終確定する計画」としつつ「参加する場合、サービス・投資市場および政府調達市場開放などにより韓国企業の輸出と投資進出などに肯定的な影響を及ぼすものと展望される」と明らかにした。だが、同協定は迂迴的な韓日FTAの性格が強く、対日貿易赤字拡大など悪影響を憂慮する声もある。
“メガFTA”と呼ばれるTPPは難航の末に先月5日に妥結した。米国や日本など12参加国の経済規模は国内総生産(GDP)基準で世界全体の約40%を占める。
韓国語原文入力:2015-11-05 22:34