マレーシア、タイなど債権を大量売却
新興国通貨不安が韓国に飛び火憂慮
モーガン・スタンレー、韓国を「通貨不安国」に追加
中国の奇襲的な元貨切り下げと、秒読みに入った米国の金利引き上げにより、新興国の金融不安が高まる中、韓国の金融市場で外国人資金の離脱が加速している。特に通貨価値の急落で外国為替危機の可能性まで問題にされているマレーシアをはじめとするアジア新興国が、韓国の債権市場から資金を大量に引き出し、これらの国の金融不安が韓国の金融市場に飛び火しかねないと憂慮される。
金融監督院が18日に発表した7月の外国人証券投資動向によれば、先月に韓国の証券市場を抜け出た外国人株式・債権資金は4兆8790億ウォン(1円=9ウォン)に達する。これは2011年8月(-5兆8000億ウォン)以来の最大規模だ。 外国人は6月に国内株式を3890億ウォン売り越したのに続き、7月にも2兆2610億ウォン分を売り越した。月間売り越し規模では、2013年6月(5兆1000億ウォン)以来の最高水準だ。 米国の金利引き上げ憂慮など対外不確実性が拡大し、ウォン・ドル為替レートが急騰すると為替差損を憂慮した外国人が売り越しに出たものと分析される。
中国が元貨を切り下げした今月に入り、外国人の売り傾向はさらに強まった。外国人は18日までに1兆2950億ウォン分を売り越した。18日にも外国人の売り攻勢が続き、この日のKOSPI指数は12.26(0.62%)下がった1956.26で取引を終えた。 KOSDAC指数も22.21(3.08%)下がった699.80で取引を終え、6月3日(696.97)以来二カ月余ぶりに終値基準で700線が崩壊した。
外国人は韓国の債権市場からも先月2兆6180億ウォン相当を引き出し2カ月連続で売り越しを継続した。先月の売り越し規模は2011年12月(3兆9000億ウォン)以来最も多い。先月、韓国債権売りを主導した国家はタイ(-1兆2521億ウォン)、米国(-5651億ウォン)、マレーシア(-2962億ウォン)の順だった。 特にマレーシアは、今年に入って7月までに何と2兆9170億ウォンに及ぶ債権を処分して、純流出規模が最も大きかった。 タイも同じ期間に二番目に多い1兆3420億ウォン分の債権資金を引き出した。 マレーシアのリンギットが今年に入ってアジア主要国通貨中で最も大幅に下落(-15.2%)するなど、金融不安が広がると外国為替保有額確保のために韓国をはじめ海外に投資した資金を抜き出していると分析される。国際金融センターは「米国が利上げを始めれば、状況が一層悪化する展望」とし、「マレーシアの韓国債権保有額は依然として4兆ウォンを越えており、追加流出の余地があるが、現地金融不安が深刻化すれば韓国の経済と金融市場も直間接的な影響を受けるだろう」と説明した。
韓国は元貨切り下げの余波で通貨危機に露出しかねない“10大不安国”の一つにも指定された。 米国の経済専門メディアであるブルームバーグは17日(現地時間)、投資銀行モーガン・スタンレーが韓国を含む10カ国を中国の元貨レート調整のせいで困難を経験すると予想される“不安国”として挙げたと伝えた。スタンレー外国為替戦略グローバル責任者のハンス・レデコモーガン氏は「元貨切り下げ政策の最大被害者は主に中国に輸出する比重が大きかったり、中国との輸出競合度が高い国々」とし、韓国ウォン貨を含めブラジルのレアル、コロンビア ペソ、チリ ペソ、南アフリカ共和国のランド、ペルーのソル、タイ バーツ、ロシア ルーブル、シンガポールドル、台湾ドルなどが通話危機を被る可能性があると見通した。
ブラジルのレアルやコロンビアのペソは、今年初めと比べてドルに対する価値が20%墜落し、韓国、タイ、シンガポールなどアジア新興国の通貨価値も7~8%程度下がった状態だ。 ハナ大韓投資証券のソ・ジェヨン研究員は「韓国としては中国が成長してこそ対中国輸出需要が増えるが、元貨価値が下落すれば他国を相手に中国と輸出競争する時に困難を経験することになる微妙な立場」と話した。