株式の3.2%が結果を左右した。17日に開かれたサムスン物産の株主総会に上程されたサムスン物産と第一毛織合併の件に対する表決結果だ。 この日の株主総会で、株主は第1号議案である第一毛織との合併契約書承認の件を賛成率69.53%で可決した。 合併承認案通過のためのマジノ線(出席株主の持ち株の3分の2である66.67%)を2.86%超える数値だ。 発行済株式基準では58.91%が合併に賛成したが、このうち3.2%が賛成に加担しなかったならばサムスンの合併案は否決されるところだった。
合併案が株主総会を通過したことにより、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長は合併会社を通じてサムスン電子などのグループ系列会社に対する支配力を大幅に強化できることになった。だが、サムスンは今回の合併推進過程で株主たちのかなりの抵抗に遭い、グループの力量を総動員してかろうじて合併案を通過させることに成功した。 相当数の外国人投資家が反対に回った中で、国内世論も今回の合併に否定的だったので、サムスンは支配構造改編作業の正当性を未だに確保できずにいることを示した。
賛成株式3.2%p上回り“辛勝”
合併サムスン物産“持ち株会社”スタート
事実上の経営権継承「半分は反対」
サムスン電子、支配力強化が宿題に
イ・ジェヨン体制の本格試験台との評価
この日午前9時に始まった第一毛織の株主総会では、株主が20分で合併案を表決なしで可決した。 だがサムスン物産の株主総会では、合併案がサムスン物産側に不利だという株主が反対意見を出し、合併案を処理するだけで3時間半以上かかった。 株主総会で議長を務めたサムスン物産のチェ・チフン代表(建設部門)は、表決後に「1億3235万5800株が投票に参加し、このうち9202万3660株が合併案に賛成した」と明らかにした。
合併に反対する株主は8月6日までに株式を買い上げるよう会社に申請することができる。 買い取り請求価格は1株当り5万7234ウォン(6180円、優先株は3万4886ウォン)と決まっている。 株式の買い取り請求金額が1兆5千億ウォンを超えなければ、合併会社はサムスン物産という名前で9月1日にスタートする。 サムスン物産のチェ・チフン、キム・シン社長と第一毛織のユン・ジュファ、キム・ポンヨン社長は、この日共同メッセージを発表して「今回の合併を通じて新たな成長動力を得ることになった。 両社の事業的力量を結合しシナジー効果を最大化して価値を高め期待に報いる」と明らかにした。
合併に反対してきたエリオットは、「多くの独立株主の希望にもかかわらず合併案が承認されて残念だ。すべての可能性を残しておいている」と述べ、今後は法的訴訟や他の対応をする意向を明らかにした。
統合サムスン物産は、サムスングループの事実上の持ち株会社としてサムスン生命、サムスン電子、サムスン電気などを支配することになる。 イ・ジェヨン副会長は持分23.2%を保有する。 合併が事実上成功段階に入ったことによりサムスンとイ副会長が経営権継承過程で大きな峠を越したという評が出ている。
ソウル大のある教授(法学)は「サムスンの歴史で今日が重要な日になるだろう」としながら「まだ不確かだったイ副会長のリーダーシップが、合併以後には確かになって今後は防御が一層容易になるだろう」と話した。
反面、サムスンが本格的な試験台に上がったという評価もある。 サムスン物産と第一毛織の合併は、「事実上の持ち株会社」をスタートさせたが、今後サムスン電子に対する支配力を高めるなど、支配構造改編を追加で進展させなければならない。この日の株主総会に参加したキム・サンジョ経済改革連帯所長(漢城大教授)は、「サムスンと志を異にした株主が半分近くいるということが明らかになった」として、「サムスンが経営権継承作業を進め、株主と市民の心をつかめなければ莫大な費用を払うことになるということを示した」と指摘した。キム所長は「サムスンが市場で認められる支配構造、意志決定構造をもって再整列しなければならない」として「今こそ“イ・ジェヨン体制”が真の試験台に上がった」と語った。
今回の合併を巡る攻防は、国民年金と韓国内の証券会社、資産運用会社にも大きな課題を抱かせた。 国内外の議決権専門機構4ケ所が全て合併に反対したのに、国民年金や韓国内の機関投資家は合併に賛成したし、意思決定過程も透明でなかった。 ウォン・スンヨン明知大教授(経営学)は「国民の財産を扱う国民年金が、今回の議決権行使を専門委員会に任さずに自ら決めて既存の手続きを壊してしまった」と話した。 ある証券会社の首席研究員は、「(証券会社が)サムスンの主張を書き写す水準のリポートを出して、韓国の証券業界の素顔を見せた」と話した。