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増益した大企業でもリストラ…韓国経済全般の悪循環を憂慮

登録:2015-02-04 22:07 修正:2015-02-05 15:11
減員11社中赤字名分は4社のみ…サムスン生命など4社は費用削減が理由
減員→消費縮小→経営難の悪循環…労使が苦痛を分担する戦略が必要
出勤する会社員。キム・ポンギュ記者 //ハンギョレ新聞社

企業「危機に備えて減員」が結局は「経営危機ブーメラン」に
内需活性化を望んで基盤を崩す減員
悪循環を断ち切れなければ労使共倒れ
現行年俸制に代る新給与体系
定年延長に備えた賃金ピーク制などが必要

 韓国の大企業が年初から経営実績悪化と不透明な経営環境を理由に“非常経営”の旗を掲げ、先を争うように減員(人的リストラ)に乗り出している。 このために雇用不安による労使関係悪化はもちろん、非常経営→減員→内需萎縮→生産減少→実績悪化→減員へと続く悪循環が憂慮されている。 韓国経済の共倒れを防ぐ解決方法が必要だとする指摘が多い。

大量減員が経済に及ぼす影響。 //ハンギョレ新聞社

 4日、ハンギョレが昨年以後最近まで“名誉退職”や“希望退職”等の名分で減員したり、現在減員が進行中のサムスングループのサムスン生命、サムスン証券、サムスン電機、サムスンSDI、現代重工業グループの現代重工業、ハイ投資証券、斗山(トゥサン)グループの斗山重工業、インフラコア、SKC、GSカルテックス、KTの11大企業の昨年1~3四半期経営実績を分析した結果、売上と利益が共に前年より減り、人的リストラのための最小限の名分を備えたところはサムスン電機、現代重工業、斗山重工業、GSカルテックスの4社しかなかった。 このうちサムスン電機、現代重工業、GSカルテックスは営業赤字を記録した。

 一方、売上と利益が増えたのに費用削減を掲げて減員を断行した企業も、サムスン生命、サムスン証券、ハイ投資証券、SKCの4社だった。 残りの3社のうち、サムスンSDIと斗山インフラコアは売上は減ったが営業利益は増えており、KTは売上は増えたが営業赤字を記録した。KTの営業赤字は、昨年上半期に全人員の25%を超える約8300人を名誉退職させ1兆2300億ウォンの特別名誉退職金を一時に支給した要因が大きかった。

 イ・ヨンミョン東国大学教授(経営学)は「赤字が数年間続くならともかく、数兆ウォン、数千億ウォンの利益を出していながら、単に利益が減ったからと“危機経営”を名分に減員する企業に国民が共感できるか」と指摘した。 実際、サムスン生命は昨年第3四半期まで営業黒字が1兆3000億ウォンに達し、斗山重工業とインフラコアもそれぞれ6791億ウォンと3447億ウォンの営業黒字を記録した。 これに対して昨年減員を行った大企業の幹部は「市場競争がますます激しくなり、今後の経営環境も良くなる兆しが見られない状況では、当面の生存はもちろん未来競争力を強化して収益性を高めるために先制的構造調整をする企業を非難することはできないのではないか」と抗弁した。

大企業の減員内容と2014年経営実績。 //ハンギョレ新聞社

 企業の大規模減員は雇用不安を招き労使関係を悪化させる要因として作用する。 一例として現代重工業は事務職1500人(全職員の5.33%)を名誉退職方式でリストラしようとして、課長級以上の事務職が1月末に生産職労組とは別に労組を結成して、事実上“整理解雇中断”を要求して反発している。 また、一度に数千名、数万人が働き口を失う場合、内需沈滞を招き企業の生産減少と実績鈍化につながり、再び減員の圧迫を受ける悪循環を招く危険性が高い。

 昨年、朴槿恵政権が各種経済活性化対策を出したが、内需景気が容易に生き返らない理由の一つとして、銀行、保険、証券など金融圏の失業者だけで2万人を超えるほど激しいリストラが大きな要因として挙げられる。 全国経済人連合会の「2015年投資環境調査」でも、30大グループの多数が「現経済状況が2008年金融危機時よりさらに悪い、または同等だ」(72.4%)として「投資拡大のために内需活性化が最も必要だ」(37.9%)と答えた。企業自ら内需活性化を切実に望みながらも、減員で内需基盤を押し潰すという矛盾が広がっているわけだ。

 専門家たちは労・使・政府の3者が額を突き合わせてこのような悪循環の輪を断ち切らなければ皆が共倒れになりかねないと警告している。 SKイノベーションは昨年原油価格下落などの影響で数千億ウォンの赤字が予想されるが、SKエナジー、総合化学、ルブリコンツなど5社の子会社とともに労使が苦痛の分担を通じて減員を自制する模範を見せている。 この会社は毎月月給から役員は15%、職員は10%ずつを控除して、最終年末実績が経営目標を達成すれば利子を付けて返すことにした。

 反面、現代重工業は昨年第3四半期まで営業損失が3兆2000億ウォンを超える難しい状況でも、労使が苦痛分担の代わりに正面対決に至っている。 会社の経営陣と労組執行部は7カ月間の賃金団体交渉の末に昨年末劇的に暫定合意案を導き出したが、1月初めの労組員総会で基本給の引上げ幅が不十分だという理由などで否決された。

 イ・ヨンミョン教授は「会社は無分別な減員を自制して、労組も働き口を守る代わりに賃金は一定部分譲歩することによって“柔軟安定性モデル”のように労使が揃ってウィン・ウィンできる妥協案を出す必要がある」と話した。 労使政委員会でも年を取れば給与が自動的に増える現行年俸制の代わりに、職務や成果により給与を与える方案を含む賃金体系の改編案を議論中だ。

 最近の大企業のリストラが、2016年から本格導入される60歳定年延長に備えた事前整理の性格もあるだけに、定年は保障するものの賃金の一定部分は譲歩する“賃金ピーク制”等の対策準備が至急必要だという意見も多い。 イ・ジャンウォン労働研究院先任研究委員は「定年延長の趣旨が失踪しないようにするには、直ちに今年から50代後半の高齢労働者を対象に賃金ピーク制を導入しなければならない」として、労使政委員会の業種別賃金ピーク制導入宣言方案を提案した。 昨年希望退職を実施したある大企業の幹部は「個別企業次元で経済全体を勘案した率先垂範を期待することは困難だ。 政府の積極的役割と社会的合意が必要だ」と話した。

ウ・ナムヨン現代重工業一般職支部長が1月28日、蔚山市庁で「金属労組蔚山支部現代重工業一般職支部創立会見文」を読んでいる。 蔚山/ニューシス

クァク・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/676918.html 韓国語原文入力:2015/02/04 20:12
訳J.S(2724字)

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