政府が公共機関の正常化策を発表した。公共機関の負債問題を解決するために、主務省庁の監督権限を強化して、放漫経営を根絶するための様々な対策を設けるという内容だ。しかし、公共機関の負債原因の相当部分が政府のせいだという分析が出ており論難が予想される。
企画財政部(企財部)は11日、政府ソウル庁舎で公共機関運営委員会を開き、295の公共機関のうち、負債過多・放漫経営の公共機関に対して改善実績が十分でなければ機関長を解任するという内容の「公共機関正常化対策」を確定した。政府は韓国土地住宅(LH)公社、韓国水資源公社、韓国鉄道公社、韓国道路公社、韓国電力公社(韓国水力原子力等の発電子会社を含む)など12ヵ所の負債を集中管理することにした。これら機関は来年1月末までに、すべての事業をゼロベースで再検討して負債削減計画を主務省庁と協議した後、 企画財政部に提出しなければならない。
政府はまた、事業部門別に財務諸表を作成する区分会計制度を段階的に導入するとして、負債削減努力、放漫経営管理の盛り込まれた「経営成果協約」をすべての機関長と締結することにした。政府はこれを通じて、現在220%である公共機関の負債比率を2017年までに200%水準に下げる計画だ。
政府はまた、一人当たりの福利厚生費が多い韓国馬事会、仁川(インチョン)国際空港公社、韓国取引所など20の機関にも正常化計画を提出させることにした。また、機関長の経営評価に「報酬および福利厚生管理」評価指標を新設して、評価比重を8点から12点に引き上げた。また役員報酬を削減し、一般社員の賃金凍結も推進する。
しかし、公共機関の負債現況を綿密に検討するならば、政府の責任を公共機関に転嫁したり、危険性を針小棒大に誇張した情況があちこちで露呈している。政府の中長期的な財務管理計画対象である41の公共機関の負債が472兆9000億ウォンで、295の全公共機関の負債(493兆4000億ウォン)の96%に上る。 問題となるいくつかの公企業が公共機関の負債を主導しているわけだが、“公共部門全体の引き締め”が進行される形だ。
このような憂慮にもかかわらず、政府の負債規模を軽く超える公共機関の負債が、財政健全性と国家信用度を脅すほどだというのが政府の判断だ。企財部によると、企業の債務を肩代わりしている輸出入銀行を除く全公共機関の負債は2008年290兆ウォンから2012年493兆4000億ウォンに増えた。負債比率も大幅に増えた。韓国土地住宅公社、韓電など、財務管理計画対象である41の公共機関の負債比率(負債/資産)は220.6%に達し、全公共機関の負債比率も207.5%で200%を超えた。
今年の新規任命の44%が天下り
正常化対策発表の日にも
“親パク系キム・ハクソン”道路公社社長に就任
295箇所中41箇所に負債の96%が集まっているのに
全体の引き締めで進行との論難も
政府はこのような“過剰負債”の根に公企業と公共機関の放漫経営と道徳的弛緩があるとみている。先の国政監査資料を見ると、公企業職員の1人当り平均年俸は7200万ウォンで、非正規職と正規職を含めた勤労所得者平均年俸の2倍を軽く超えている。原発をめぐる不正事件で捜査を受けた韓国水力原子力は過去4年間に成果給だけで5970億ウォンを支出し、韓国石油公社や韓電は中間管理職級も国外出張の際に航空機のビジネスクラスを利用できるようにした。公共機関が口実を提供したのは確かだ。
しかし、公共機関の負債を微視的に見れば、政府の現実認識は度を越しているという指摘が出てくる。公共機関の負債は、国家財政の支援を受けた政府借入金と一般の金融負債に分けられる。このうち利子が発生する金融負債が問題の核心だ。ところが金融負債は260兆1000億ウォンで全公共機関の負債の半分をやや上回る水準に過ぎない。また、金融負債上位20の公共機関が負っている金融負債は253兆9000億ウォンで全公共機関の金融負債の97.6%に達する。
特に、公共機関の負債問題を“放漫経営”のせいにしたのは“盗人猛々しい”に近かった。監査院が2007~2011年の金融負債10大公共機関の負債の原因を分析した内容を見れば、政府政策事業や公共料金(電気・ガス・水道など)の統制で発生した金融負債が全体の半分を超えている。李明博(イ・ミョンバク)政権に入って強力に推進した海外事業の負債まで政府政策分とするならば、公企業が自らの事業を推進しながら負った金融負債は全体の29.0%にとどまる。
しかも、公共機関の経営効率の大きな障害として決まって挙げられる“天下り機関長”問題は、正常化対策に言及すらされていない。<ハンギョレ>が2013年に入って任命された公共機関長を分析した結果、計77人のうち34人(44%)が天下り人事に挙げられた。李明博政府発足初期の2008年に新規任命された公共機関長180人のうち78人(43.3%)が天下り人事とされたのと同様な水準だ。負債規模上位10の公共機関の人事を見れば、2008年以降25人が機関長に人選されたが、そのうち19人(76%)が天下り人事とされた。特にこの日、キム・ハクソン元議員は韓国道路公社の社長に就任し、韓国地域暖房公社は株主総会を開いてキム・ソンフェ元議員を社長に内定した。政府が公共機関の正常化策を発表した当日、親朴系人士の乗ったパラシュートが公共機関に降下したわけだ。
社会公共研究所のキム・チョル研究委員は「専門性のない天下り機関長が、論功行賞式に機関長の座を占めて政府の施策を強引に推し進める行動隊長の役割をすれば、公共機関の役職員が経営について無責任にならざるをえない」として「天下り人事は政治的にも問題だが、公共機関の放漫経営の原因の一つでもある」と述べた。グローバル政治経済研究所のオ・ゴンホ研究室長は「企画財政部の主導で公共機関が国の借金を肩代わりしたのに、負債の理由を公共機関内部で見つけようとしても、答えは見つからない」とし、「公共機関の負債問題を改革するためには、 企画財政部のこれまでの強引な政策推進方式を反省し、論功行賞となってしまった機関長人事から正すべきだ」と述べた。
ノ・ヒョンウン記者、クォン・ウンジュン記者 goloke@hani.co.kr