原文入力:2012/07/07 13:12(3524字)
←去る1月27日、大統領府で開催された‘開かれた雇用および庶民生活安定のための公共機関ワークショップ’で李明博大統領(中)がキム・ファンシク国務総理(左)、パク・ジェワン企画財政部長官(右)と共にブリーフィングを聴いている。 李大統領はこの日、物価安定と働き口創出に公共機関が先頭に立ってほしいと注文した。 大統領府カメラマン団
MB政府、成長に執着し
大型国策事業と減税政策をゴリ押し
実質国家債務比率 75%に増加
国家財務諸表に補足されない公共機関からの資金引き出し
中央公共機関負債 2007年249兆ウォンから2011年463兆ウォンへ
‘国家債務300兆ウォン維持’
李明博政府が2008年に執権して据えた目標だ。 これは盧武鉉政府末期の国家負債規模と同じだ。 自身の任期内に負債を一銭も増やさずに次の政府に健全な財政を譲るというのが李明博政府の野心に満ちた計画だった。
この約束は就任初年度から破られた。 国家債務は一年も休むことなく増え続け、昨年には420兆ウォンを越えた。 公企業など他の公共部門の負債はこれより多い。 急増する民間部門の負債をある程度吸収してきた公共部門までが危険水位に至り、莫大な債務の重みは国家全体を強くずっと押さえつけている。
地方自治体負債、2007年18兆ウォンから2010年28兆ウォン
ひとまず国の財政を総括する中央政府からして借金が多い。 中央政府の負債は昨年末基準で402兆8千億ウォンだ。 国内総生産(GDP)比32.6%水準だ。 執権初年度である2008年に中央政府の負債は297兆9千億ウォン(GDP対比29.1%)だったが3年間で35%も急増した。その上、これは保守的に捉えた数値だ。 今年、国家会計に新たに適用された会計基準によれば今後公務員や軍人年金受給者に支給しなければならない‘年金充当負債’まで事実上の国家負債と捉えれば負債は774兆ウォンに跳ね上がる。
現政権になって借金が急増したのは2008年グローバル金融危機の影響が大きかった。 小さな政府を前面に掲げた李明博政府は就任以後、米国で金融危機がさく烈すると直ちに財政支出を拡大し始めた。 急激に冷却される不動産など実物景気を浮揚させるために2009年だけで17兆9千億ウォンの予算を追加編成するなど、資金を大挙解いて大型国策事業を行った。 4大河川興し事業だけで22兆ウォンがかかったし、くつろぎの里住宅事業に至っては正確な事業費を推定できないほどだ。 景気活性化を名目に大規模減税もあった。 政府は企業投資など景気活性化を理由に2008年法人税・所得税・総合不動産税・譲渡所得税など主な税率を大幅に下げた。 財政支出が増えた状況で税収まで減り財政赤字が積もった。 李明博大統領の任期4年間で累積した財政赤字だけで81兆4千億ウォンに達する。 ファン・ソンヒョン仁川大教授(経済学)は「それでなくとも財政需要が増える状況であったのに、逆に租税負担率を低くした」として「右派政府だからむやみに税金を削り、福祉など政府がしなければならないことはまともにできずに借金ばかりが増えた」と指摘した。
地方政府の負債が増えたのも中央政府の財政拡大政策と密接な関連がある。 その間、中央政府の統制で大規模事業を我慢してきた地方政府は中央政府の財政拡大政策に便乗して鉄道・大橋・道路などの大規模社会基盤施設(SOC)建設に乗り出した。 これに加えて地方政府は土地を開発した後、民間に売却して差益を残す不動産投資にも熱を上げた。 基準金利が年2.0%に下がったおかげで地方自治体は安心して地方債を発行し、都市開発公社など地方公企業に借金もさせた。 そうするうちにいくらも経たずに地方不動産景気がしぼみ、地方自治体はばく大な借金を抱えることになった。 その結果、地方自治体の負債は2007年の18兆2千億ウォンから2010年には28兆5千億ウォンへ、地方公企業の負債は同じ期間に41兆3千億ウォンから62兆9千億ウォンに増加した。 特に仁川市は2009年から地方債を発行してアジア競技大会競技場、都市鉄道建設などの大型事業に無理に着手した。 結局10兆ウォンに近い借金をして破産直前にまで追い詰められた。 ソ・ジョンソプ韓国地方行政研究院研究委員は「不動産景気が悪化して借金で開発した土地は売れず、弱り目にたたり目で取得税などの主要財源は減った」として「更に危機を克服する過程で福祉事業予算は急増して地方財政が悪化した」と説明した。
いまだに目が覚めない企画財政部長官
それでも、中央政府や地方政府は事情がまだマシな方だ。公共機関借の負債はすでに政府の負債規模を跳び越えている。 286ヶの中央公共機関の負債は2007年249兆3千億ウォンから昨年には463兆5千億ウォンまで急増した。 李明博政府が主要国策事業を行うたびにキャッシュディスペンサーから金を引き出すように公共機関から資金を引き出して使ったためだ。 公共機関は‘落下傘社長’を通じて政府が思いのままに操れる。 例えば韓国水資源公社は中央政府が推進する4大河川事業費を賄うために8兆ウォンの債権を発行した。 その過程で2007年には1兆5800億ウォンだった水資源公社の負債(負債比率17%)は昨年には12兆5800億ウォン(116%)へ8倍増えた。 この他にも政府の資金を投入しなければならない事業には例外なく公企業が動員された。 李明博政府が無理にくつろぎの里住宅建設事業をゴリ押ししたために韓国土地住宅公社(LH)は昨年だけで借金が9兆ウォン増え、不良貯蓄銀行の後処理を引き受けた預金保険公社も負債が13兆ウォン追加された。 韓国電力公社・韓国ガス公社などは政府の物価安定基調のために価格が凍結され昨年だけで数兆ウォンずつ金を借りた。 だが、公共機関のこのような負債は国家財務諸表には補足されない。 ヨン・ガンフム延世(ヨンセ)大教授(経営学)は「政府は公企業の借金を便法で動員して主要事業を展開し、危機管理を任せた。 この過程で公企業の収益性は悪化し借金は急増した」と指摘した。
公共部門の随所に借金が積もっているものの政府にはまだ余裕がある。 パク・ジェワン企画財政部長官は去る6月2日に就任1周年をむかえて報道機関とのインタビューで「財政健全性向上努力が信用等級展望が上向きという国際的な評価につながった」と自評した。 政府は韓国の財政健全性が良好だという主張の根拠に、他国の境遇を示す。 実際、国際通貨基金(IMF)が計算した昨年のGDP対比国家債務比率を見れば、韓国は34.1%で日本(229.8%),米国(102.9%),ギリシャ(160.8%)に比べてずば抜けて低い。 しかしIMFが集計した国家債務には事実上の政府領域である公共機関負債が抜け落ちている。 公共機関は他の国家にもあるが韓国ほどには多くない。 我が国には700ヶを越えるほどに公共機関が多いのみならず、これらが直接的に政府の政策機能を代行していて、事実上政府範疇に入れなければならないという指摘が多い。 700ヶ余りの中央・地方公共機関と中央・地方政府が負っている負債を全て加えれば938兆1千億ウォンに増える。 すると国家債務比率は75%まで跳ね上がる。 ヨーロッパ財政危機の渦中にあるスペイン(68.5%)より数値が高い。 統計の魔術が隠した実状だ。
不動産バブル、高齢化と結合すれば?
さらに深刻な問題は韓国では‘借金経済の呪い’が本格的に始まってもいないという事実だ。 今までは民間と公共部門が交互に借金をして耐えてこられた。 しかし民間と公共部門の借金がすでに急増した状態で、不動産バブルまで完全に崩壊するならば財政は急速に悪化せざるを得ない。 ソン・デイン経済戦略研究所のソン・デイン所長は 「日本は1990年代に不動産バブルが弾け、途方もない土建政策を用いた。 加えて急激な高齢化まで迎えて地方自治体は破産し、国家は途方もない借金をすることになった」として「韓国はまだ不動産バブルが残っている上に高齢化もまともに準備できずにいるなど財政需要が多く危険だ」と話した。
ソ・ボミ記者 spring@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/541477.html 訳J.S