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若さの泉?その湖には100歳を超える長寿の魚が住んでいる

登録:2023-12-02 08:15 修正:2023-12-02 08:34
[アニマルピープル]米国アパッチ湖に生息するバッファローフィッシュ3種…人間の老化研究に役立つ
米国アリゾナ州アパッチ湖に100歳以上のバッファローフィッシュが生息するという研究が発表された=アレック・ラックマン教授/ミネソタ大学ダルース校提供//ハンギョレ新聞社

 米国アリゾナ州の人里離れた湖で生息する魚の寿命は100歳を超えているという研究が発表された。人間と同じくらい長生きするこの魚類は、北アメリカ固有種である「バッファローフィッシュ」で、2019年に最長寿の淡水魚として112歳まで生き延びた事実が明らかになり、注目を集めたことがある。今回の研究でも同様の結果が出た。

 ルイジアナ州のペリカン川流域の湖に生息する「ビッグマウスバッファロー」の年齢を研究していたミネソタ大学ダルース校のアレック・ラックマン教授(生物学者)が、今回はアリゾナ州東部のアパッチ湖で、バッファローフィッシュの寿命についての研究を進めた。これに先立ちペリカン川で採集したビッグマウスバッファロー224匹のうち83%が75歳以上だった。

 ラックマン教授と研究チームは「アパッチ湖で採集したバッファローフィッシュの耳石を分析した結果、90%が86歳以上であることが分かった。今回の研究から、ビッグマウスバッファローだけでなくバッファローフィッシュの他の種も、100歳以上生きることが可能であることが分かった。これは、すでに100歳以上生存することが知られている海洋魚類のメバル以外では初めて」だと明らかにした。研究は国際学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」最近号で公開された。

調査対象になったバッファローフィッシュが生息している米国アリゾナ州アパッチ湖の位置と風景=アレック・ラックマン教授/ミネソタ大学ダルース校提供//ハンギョレ新聞社

 これに先立つ研究では、ラックマン教授はビッグマウスバッファローだけを調査したが、今回は「スモールマウスバッファロー」と「ブラックバッファロー」も調査対象に加えた。この3種は、ミシシッピ川とハドソン川流域に生息する固有種だ。コイ目に属する条鰭類の魚類で、平均で体長1.25メートル、重さは36キログラム以上になる。暖かく浅い湖や川に住み、植物性プランクトンをろ過して食べる。北米のコイ目のなかでも主要な種だが、種の半数以上(55%)が絶滅の危機に処している。

 ラックマン教授は、研究のために地域の住民であり釣りを趣味とするスチュワート・ブラック氏ら数十人の釣り人と共同で、2018年7月から今年7月までの5年間、バッファローフィッシュ222匹を採集した。そのうち23匹は、採集後に人道的な方式で安楽死させ、耳石分析法で年齢を推定し、残りは魚の斑点を撮影して重さを測定した後、放流した。これらの人々は、可視針や鉤を使わない釣り方で魚類を採集した。

 バッファローフィッシュの耳石は10年単位で年輪が形成されるため、研究チームはこれを計算して年齢を推定した。採集後に放流した個体についてては、バッファローフィッシュが年を取るにつれて体に現れる黒色やオレンジ色の斑点などを観察する手法を用いた。また、バッファローフィッシュの年齢構造、外部の斑点、時間経過にともなう個体数の増減なども総合的に分析した。

 研究の結果、耳石を分析した23匹のバッファローフィッシュのうち最高齢は108歳だった。バッファローフィッシュの年齢は、ビッグマウスバッファローで85~105歳、スモールマウスバッファローは11~102歳、ブラックバッファローは106~108歳と分布された。すべての動物をあわせても100歳以上の寿命を記録した種はわずか35種であり、バッファローフィッシュの3種すべてが100歳以上生きることは注目に値するというのが研究チームの見解だ。

 バッファローフィッシュの「故郷」がアパッチ湖ではない点も注目される。バッファローフィッシュの生息地はテキサス州とルイジアナ州にまたがるミシシッピ川とハドソン湾一帯で発見される。米国は1910年代、商業目的でミシシッピ川周辺でバッファローフィッシュを飼育して米国全域に送った。1918年、アリゾナ州ルーズベルト川にも運ばれたが、現在はアパッチ湖で生息している。今回の研究対象になった一部の個体は、その当時に汽車に乗ってルーズベルト川に運送された後、アパッチ湖に流入した個体だということだ。

研究チームはバッファローフィッシュの耳石分析だけでなく釣りを趣味とする人たちが写した写真をデータベース化してバッファローフィッシュの年齢や個体情報などを把握した=アレック・ラックマン教授/ミネソタ大学ダルース校提供//ハンギョレ新聞社

 ラックマン教授は「この湖の環境は、あたかも荒涼たる砂漠であるかのようだが、この魚が1世紀が経過しても変わることなく生存できるということは本当に驚くべきことだ。他の野生動物を新しい生息地に連れてくることを想像してみれば、いかに難しいことなのか分かる」とナショナルジオグラフィックに述べた。

 研究チームは、バッファローフィッシュの長寿は、水位の変動がほとんどないアパッチ湖の環境に適応した結果だと推定した。バッファローフィッシュの繁殖については知られていない点が多いが、特定の環境条件が成立するまでは繁殖しないため、実際の繁殖の成功までには数十年を要することが分かった。低い繁殖可能性のために長生きするよう進化したのだろうという推測だ。

 くわえて、これらの人々の2021年の研究では、年上のバッファローフィッシュであるほど、若い個体よりストレスをあまり受けず、免疫力が強くなることが明らかになった。研究チームは、バッファローフィッシュの寿命研究は、人間を含む脊椎動物の老化研究に役立つ可能性があると主張した。

キム・ジスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/animalpeople/ecology_evolution/1118677.html韓国語原文入力:2023-12-02 00:51
訳M.S

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