本文に移動
全体  > 文化

100歳以上の高齢者の血管には「特別な血」が流れる

登録:2023-10-28 06:33 修正:2023-10-28 07:57
1920年以前に生まれた高齢者約4万人の40年間の追跡調査 
60代から血糖値、クレアチニン、尿酸値が低下
スウェーデンの科学者たちが100歳以上の高齢者の血液からいくつかの特徴を発見した=ピクサーベイより//ハンギョレ新聞社

 体重の7~8%を占める血液は、体の隅々に必要な栄養分を届け、体から発生した老廃物を回収する配達員兼清掃員だ。体重70キログラムの成人男性の体の中では、約5リットルの血液が計6000キロメートルにのぼる血管に乗って全身を駆け巡る。

 したがって、血液の中に何がどれだけ入っているかが分かれば、私たちの体の健康状態を大まかに把握することができる。健康診断で血液検査が基本項目に入っているのはそのためだ。血液から100歳長寿の秘密を垣間見ることができるだろうか。

 人間の寿命延長とともに、今では100歳のお年寄りもそれほど珍しくない時代になった。100歳以上の高齢者人口は最も急速に増加している人口集団だ。1970年代以降、10年ごとに約2倍ずつ増えている。

 国連の人口統計によると、100歳以上の人口は1950年の約3万4千人から2021年には57万3千人へと17倍に増えた。2000年の15万1千人と比べると、20年間でほぼ4倍に増加した。

100回目の誕生日を迎えた人々は、60代以降からブドウ糖、クレアチニン、尿酸値が低くなる傾向がある=ピクサーベイより//ハンギョレ新聞社

総コレステロールと鉄分の数値は高く

 スウェーデンのカロリンスカ研究陣が、1893~1920年に生まれたスウェーデンの高齢者4万4500人余りの血液を追跡検査した結果、100歳以上の高齢者は60代から血中ブドウ糖、クレアチニン、尿酸値が低くなる傾向を示していることが分かった。

 研究陣は1985年から1996年の間に彼らの血液を採取した後、2020年まで追跡観察した。研究に参加した人々の約2.7%である1224人が100歳まで生きた。100歳以上の高齢者の大半(85%)は女性だった。

 研究陣は、彼らの血液検査から出た指標のうち、総コレステロールやブドウ糖、尿酸、肝臓酵素、クレアチニン、アルブミン、鉄分など新陳代謝と炎症、肝臓と腎臓機能と関連した12種類の物質の数値を比較分析した。

 総コレステロールとブドウ糖数値は代謝状態および機能と関連した指標で、食べ物を消化する過程で発生する老廃物である尿酸は炎症の指標だ。また、アルブミンをはじめ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(Alat)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(Asat)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GT)、アルカリホスファターゼ(Alp)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)などは肝臓機能と関連した指標だ。アルブミンは栄養に関する指標でもある。筋肉から出る老廃物であるクレアチニンは腎臓の機能を知らせる尺度であり、鉄分は貧血と関連した指標の役割を果たす。

 分析の結果、肝臓酵素とアルブミンを除いた10個の物質が100歳以上生存する可能性と関連があることが分かった。総コレステロールと鉄分数値が高い人は、低い人に比べて100歳以上まで生きる可能性が高かった。

 ブドウ糖、クレアチニン、尿酸および肝臓酵素は、数値が低いほど100歳以上の生存可能性が高かった。研究を率いたカリン・モディク教授(流行病学)は「ザ・カンバセーション」への寄稿で「100回目の誕生日を迎えた人々は60代以後からブドウ糖、クレアチニン、尿酸値が低くなる傾向があることを発見した」と明らかにした。

100歳以上も、未満も、正常数値からは外れる

 12の生体指標の大半で、100歳以上の高齢者と100歳未満の高齢者の中央値は大きく変わらなかった。しかし、100歳以上の高齢者が極端に高いか、低い値を示すケースはほとんどなかった。例えば、100歳以上の高齢者のうち、糖化血色素の数値が糖尿診断基準値である6.5以上か、クレアチニン数値が1リットル当たり125マイクロモル(1デシリットル当たり1.41ミリグラム)以上の場合はほとんどなかった。

 しかし、100歳以上であれ、100歳未満であれ、いずれも多くの指標から正常範囲を外れている。研究陣は「これはおそらく正常範囲が若くて健康な人を基準に設定されたためだろう」と語った。

 研究陣は、今回の研究がどのような生活方式要因や遺伝子が100歳以上の生存の指標の役割を果たすかについて、答えを示すものではないと強調した。とはいえ、栄養やアルコール摂取のような要因が100歳長寿に一定の役割を果たすという考えは合理的であり、年を取るほど腎臓と肝臓の数値、ブドウ糖と尿酸の数値を追跡するのは良い方法だろうと語った。

*論文情報

https://doi.org/10.1007/s11357-023-00936-w

Blood biomarker profiles and exceptional longevity: comparison of centenarians and non-centenarians in a 35-year follow-up of the Swedish AMORIS cohort. GeroScience (2023)

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/1113886.html韓国語原文入力:2023-10-27 17:22
訳H.J

関連記事