韓国ではお茶碗に山盛りにしたご飯をコボンバップ(高捧飯)と言う。農業社会時代、我々の先祖はこの高捧飯を食べて野外で働くパワーを得た。「ご飯は元気の源」という言葉はこの高捧飯に由来する。
しかし、西欧化の波とともに、韓国人の食習慣が昔とは確実に変わった。これからは「ご飯は元気の源」という言葉も消えてなくなるかもしれない。
昨年、韓国人の肉の消費量が初めてコメの消費量を上回った。長年韓国人の食卓を支えてきた主食のコメが、肉に追いやられたわけだ。
韓国農村経済研究院は最近発表した「農業見通し2023」で、3大肉類(豚肉、牛肉、鶏肉)の1人当り消費量が2022年の1年間で58.4キログラムにのぼると推定した。これは2021年の56.1キログラムより2.3キログラム増えたもの。2002年の33.5キログラムと比べると、20年間で74%増え、年平均2.8%の増加率を示してきた。
麦、小麦など他の穀物消費量も減少
一方、昨年の1人当たりのコメの消費量は55.6キログラムで、肉の消費量に及ばないものと推定された。同研究院は朝食を食べない人が多くなると共に、食べ物の多様化が進み、パンやサンドイッチへなど手軽に食べられるものが好まれるのも、コメの消費量の減少に影響したと分析した。
統計庁が先月発表した「2022年糧穀消費量調査結果」でも、1人当りのコメの消費量は2021年の56.9キログラムより0.2キログラム減った56.7キログラムで、過去最低値を記録した。
1992年の112.9キログラムと比べると、30年間で1人当たりのコメの消費量が半分水準に減った。現在、韓国人の1日のコメの消費量は1日にご飯1杯程度にとどまっている。
コメだけでなく、他の穀物の消費量も減った。コメを含む麦や小麦、豆、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモの7大穀物の1人当たりの消費量は、2002年の167.2キログラムから2021年の137.9キログラムへと年平均1%ずつ減少した。2022年には減少幅が1.8%にさらに大きくなり、135.3キログラムに減ったものと推定された。
野菜類の消費は増加…肉に歩調を合わせたもよう
コメ消費の減少と肉類消費の増加傾向は今後も続くものとみられる。ご飯に代わる食品が多様化しており、肉類消費の増加傾向よりコメ消費の減少傾向がさらに著しくなる見通しだ。
農村経済研究院は3大肉類の1人当たりの消費量は年平均0.8%ずつ増加し、2027年には60キログラムを超え、2032年には63.1kgに達するものと予想した。
一方、コメの消費量は2023年の54.4キログラムから2033年には44.9キログラムへとさらに減少するものと予想された。年平均2%ずつ減少する見通しだ。穀物類の消費量の減少傾向も続くものとみられる。
この場合、1人前の肉とご飯1杯分をそれぞれ200グラムとすれば、2032~2033年頃には1年間に肉は今より20人前以上多く食べ、ご飯は50杯以上少なく食べることになる見通しだ。
野菜類は肉類消費と似たような流れを示す見込みだ。農村経済研究院は白菜、大根、ニンニク、唐辛子、玉ねぎの5大野菜の場合、1人当たりの年間消費量が11.1キログラムから2032年には11.6キログラムに増えると予想された。これは肉類の消費が増え、肉と一緒に食べたり、タレの材料の需要が増えていることと関連があるものとみられる。
果物の消費、国産は減少、輸入は増加
果物の場合、国産の果物の消費は減り、輸入された熱帯果実の消費は増加する傾向を示している。
リンゴ、梨、桃、ブドウ、ミカン、柿の6大果実の消費量は、2002年の1人当たり47.1キログラムから2021年には35.3キログラムへと年平均1.5%ずつ減少した。一方、同期間の輸入の熱帯果実の消費量は3.2%ずつ増加した。果物の消費を決定する最大の要因は価格だ。昨年の場合は国産果実の価格が下落し、消費量が7.2%増加した一方、輸入の熱帯果実は8.3%減少した。
ただし農村経済研究院は、これは一時的な現象であり、中長期的には穀物と国産果実の1人当たりの消費量は減少し続け、輸入果実の消費量は増加すると見通した。