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[インタビュー]都会でも原始人のように不便に暮せば元気になれる

登録:2015-02-07 00:52 修正:2015-02-10 17:24
日本のアンチエイジング専門医 青木晃
携帯電話など文明の利器を利用した“原始人健康遊び”を薦める青木晃元准教授が、6年間毎日1万歩ずつ歩いた自分の元気な足の裏を見せている。 写真 イ・キルウ先任記者 //ハンギョレ新聞社

ゴミを分けて捨ててたくさん歩く
万歩計の歩数に応じてゲームをする
“些細なことで原始人遊び” 6年実践

狩猟をする時のように一日5キロの駆け足
週末ごとに簡易式“プチ断食”を推奨
「米飯が主食である韓国人は糖質に注意」

 健康のための彼の努力は“些細なこと”の積み重ねだ。どんなに小さなゴミでも直ちに捨てる。 玄関から20メートルほど離れたゴミ捨て場まで何度も往復するためだ。わざわざ小さな袋に分けて捨てる。テレビもリモコンを使わずに手動で操作する。 玄関のチャイムが鳴ればモニターで確認しないで直接玄関まで出て行く。最近6年間、このようにして一日1万歩を必ず歩いてきた。 ただ歩くだけではない。常にポケットにしのばせている万歩計はゲーム機と連結されている。 一日歩いただけコンピュータ ゲームができる。 歩き方が足りなければ少ししか遊べない。 歩きと遊びを結合したわけだ。 手首に装着したナイキフューエルバンドは一日の活動量を測定してくれる。 この活動量はソーシャル・ネットワーク(SNS)を通じて友人と共有するようにしてある。 競争することで多く活動しようという意図がある。

 「先端都市でも原始人のように暮せば元気になれる」。日本最高の“アンチエイジング”専門医師である青木晃氏(53・写真)の主張だ。 彼の健康法は至って簡単だ。不便に暮すほど元気になるということだ。

 先月30日、日本の横浜駅付近にある自身が院長を務めるクリニックで会った彼は「長く生きることが重要なのではなく、死ぬまで健康に生きることが重要だ」という当然な話で彼の健康法を説明し始めた。「現在、日本の100歳を超える老人5万人のうち、80%はベッドに横になって延命しています。死ぬ日まで思う存分自由に動けてこそ真の健康です。便利さを少しだけ遠ざけて、不便さと不自由を甘受すればその道が開かれます」と話す。

 彼はたくさん歩いて少し走る。 一年に二回ほどフルマラソン(3時間55分台)を走り、毎日5キロほど走る。「フルマラソンをすれば、走っている間に老化を促進する活性酸素がたくさん発生します。また、膝や腰が悪くなる可能性も高いですね。 100万年前の原始人は獲物を追って一日5キロ程度走っていました。 その程度が健康に最も良いのです」。彼は原始人のように暮すためには、原始人が持っていた五感を蘇らせなければならないと言う。「五感が鈍れば各種ホルモンの均衡と代謝を担当する自律神経が鈍くなります。 外部刺激に鈍くなれば病気にかかりやすくなります。 身体の内部から危険に露出するわけです」。そこで彼は“過去の脳”を重視する。人間の脳は過去の脳(旧皮質)と新しい脳(新皮質)からできている。 魚類と爬虫類には過去の脳しかありません。過去の脳は食欲や性欲のような本能・快感などの情緒を掌握して、自律神経と密接な関係がある。 新しい脳は思考や論理、言語などの知的活動を掌握する。人間は新しい脳が発達して文明を創造したが、その代価として過去の脳は退化した。「過去の脳を刺激する努力をしてこそ、二つの脳の間にバランスが取れて、からだの奥深いところから活気や活力が泉のように湧いてきます」。そこで彼は夜空の星を見たり、自然の中で自然を感じてこそ元気になれると強調する。

 また、原始人のように暮すためには“地球時間”に合わせて生活しなければならない。 日が昇れば起き、日が沈めば休まなければならないということだ。「暗くなれば睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されます。日光を浴びれば活動的なセロトニンが分泌されます。 この生体リズムが壊れると病気になります。 暗い空間で寝なければならないのには理由があるのです」。 彼も若い時期には不規則な生活のために喘息、不眠症、便秘、下痢、頭痛、全身の倦怠感など各種の病気に苦しんだ。 そうするうちに北海道に軍医官として赴任して、野営生活をしたところ健康を取り戻し、原始人の健康法に目を開いた。

 彼は都会人に「重力を感じなさい」と薦める。 「便利な交通手段やエスカレーター、座って生活することは地球の重力を無視することです。 人間のからだは重力を感じなくては健康を維持できません。 宇宙飛行士が宇宙に1、2カ月いただけでも筋肉量が減り、骨粗しょう症にもかかります」。 彼の原始健康法には食事も重要だ。 できるだけ加工食品の摂取を減らし、自然食品の摂取を増やしながら、60~80%の満腹感を感じるように節食しなさいということだ。「原始人はほとんど胃が空っぽの状態で暮していました。 人類は飢えと戦って飢えに強いからだを得たのです。 現代人のように胃と腸に常に食べ物が入っているのは正常ではないのです。 飽食の時代に暮した結果、少しでも腹がへれば焦燥感に捕われます。その結果、糖尿病と動脈硬化患者が急増することになったのでしょう」。

  彼は都会人に“プチ週末断食”を薦める。 断食といっても食べ物を全く食べないのではなく、固形物だけを避ければ良いという。 ヨーグルトや野菜ジュースで食事に代えて、空腹を我慢する必要はない。若干の飢えを感じる程度で、からだと心を“リセット”できる。 プチ週末断食は血糖値を安定させ、不眠症と疲労感を大幅に改善させる。 また、体脂肪率と内蔵脂肪を減らして肥満を解消し、身体を一時的に飢餓状態にすることにより五感が鋭敏になり臓器の活動を活性化させる効果があるという。「週末断食は金曜日の夜に始めて日曜日の夜で終わります。2週間に一度ずつ三度すれば全く違うからだに出会うことができるでしょう」。 何より彼の健康法はそれほど難しくないことが特徴だ。 多くのことを一度にしなければならないという強迫観念に捕われず、できることだけを気楽な気持ちでやれば良い。

 順天堂大学 大学院のアンチエイジングの准教授だった彼の健康法は、最近『不便でこそ元気だ』(パダ出版社、日本での原題は『一生若くいられる「都市型原人」という生き方』マキノ出版)というタイトルで韓国に紹介された。 彼はすでに『“若返り”の食と生活』『いい睡眠があなたを10歳若くする』など10冊余りのアンチエイジング著書を出している。

 彼は韓国の読者のための健康法もアドバイスしてくれた。「韓国人は米飯をたくさん食べるが、原始人は狩猟・採集時代にははるかに少ない量の糖質を摂取していました。 できるだけ糖質の摂取を減らすことが健康に役立ちます」。

横浜/文・写真 イ・キルウ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/676846.html 韓国語原文入力:2015/02/04 22:06
訳J.S(2916字)

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