「4年前にAMA(アメリカン・ミュージック・アワード)の舞台に立ち、DNAの公演をしたとき、非常に興奮し、緊張したことを覚えている。その後の長い道のりで誰も(私たちが)この賞を受賞するとは想像もしなかっただろう。『ARMY』(ファンクラブの名前)以外は」
グループ防弾少年団(BTS)のリーダー、RMは21日夜(以下現地時間)、米ロサンゼルスのマイクロソフト・シアターで開かれた「2021アメリカン・ミュージック・アワード」(AMA)で、アジアの歌手としては初めて大賞となる「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」(Artist of the Year)の受賞スピーチでこのように述べた。
BTSは同日授賞式で「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」をはじめ、「フェイバリット・ポップ・ソング」や「フェイバリット・ポップ・デュオ・オア・グループ」まで3冠に輝いた。AMAはグラミー賞やビルボード・ミュージック・アワードと共に、米国の3大大衆音楽授賞式として知られる
今回の「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」は、いつにも増して競争が激しかった。BTSは、この授賞式の歴代最多受賞者(32)である米国のポップスター、テイラー・スウィフトをはじめ、アリアナ・グランデやオリビア・ロドリゴ、ドレイク、ウィケンドなど錚々たる候補を抑えて受賞した。
ジョングクは受賞スピーチで「私たちの音楽で(皆さんを)幸せにしたかった。これは私たちが開く新しいチャプターの始まりだ。数年前から学んできたことがあるとすれば、すべての瞬間が大切であること」だと語った。
これでBTSは、2018年から今年の授賞式まで4年連続受賞した。「フェイバリット・ポップ・デュオ・オア・グループ」は3年連続受賞となる。これまで、授賞式候補に上がった部門で全て受賞する珍記録も打ち立てた。
RMが受賞スピーチで述べたように、AMAはBTSの全米デビューの舞台だった。BTSは2017年に授賞式でDNAを現地の視聴者に生放送で初披露し、米ビルボードのメインシングルチャート「ホット100」に初めて入った。最高順位は67位だった。
4年後の今年、BTSは「Butter」で10週間にわたりビルボードの「ホット100」のトップを飾ったほか、後続曲「Permission to Dance」やコールドプレイとコラボした「My Universe」でも1位を記録した。
そして、ついに米国進出4年目にして、米国3大大衆音楽授賞式の一つで大賞を受賞した。これはポップスの本場に進入したうえに、世界最高のポップスターになったことを意味する。大衆音楽評論家のキム・ヨンデ氏は「ここ数年間、米国の音楽産業界がBTSを活用し、自らの産業を活性化させようと努めてきたが、今ではBTSが米国の音楽産業の顔になってしまった。 今回の受賞はグローバルK-POP20年の頂点と言うべき事件」だと評価した。
AMAは2006年から専門家の投票なしに一般投票だけで受賞作を決めている。今年は、米国で最も大衆的なソーシャル・メディア・プラットフォーム「ティックトック」で投票し、「Z世代」の声が大きく反映されたものとみられる。キム・ヨンデ氏は「AMAは100%ファン投票だけで選ばれるため、大衆的に最も象徴性が大きい賞」だと説明した。
米国現地でユーチューブ・チャンネルを運営するパク・ソンファさんは「韓国人歌手が米国の地で、よそ者には最も敷居の高いことで知られる音楽業界で、米国3大授賞式で大賞を受賞したことは、同胞たちに大きな力と勇気を与える出来事」だとし、「韓国人のDNAに誇りを持たせる希望の3冠」だと評価した。さらに「受賞したことも重要だが、米国という大国の見えないガラスの天井を破ったことが象徴的な意味を持つと思う。実力があれば人種と国の壁を乗り越えられるということをBTSが気づかせてくれた」と強調した。
留学生のイ・ジョンユンさん(カリフォルニア大学ロサンゼルス校4年)は「韓国の歌手が大きな授賞式で目立つ結果を出すのが不思議に思えたが、だんだん慣れてきたようだ」とし、「周りにBTSが好きな米国人の友達が多いとは思っていたが、AMAで3冠に輝くのを見て、K-POPの人気を実感した」と語った。
今回のAMAは、来年1月31日に開かれる第64回グラミー賞の前哨戦とも言える。グラミー賞は23日、候補者リストを発表する。BTSは今年3月に行われたグラミー賞授賞式で韓国人歌手としては初めて「ベスト・ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス」にノミネートされたが、受賞には至らなかった。キム・ヨンデ氏は「今年はグラミー賞4大本賞候補に入るか、『ベスト・ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス』の受賞も期待できる」と予想した。
ロサンゼルス/チョン・ヒョクジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)