大韓帝国末期、日帝が朝鮮半島を侵奪して強制占領した当時、その先頭に立った初代朝鮮統監の伊藤博文(1841~1909)の直筆の文字が刻まれた旧韓国銀行本館(現在の韓国銀行貨幣博物館)の礎石が撤去を免れることになった。
文化財庁は26日、前日に開かれた文化財委員会近代分科会議で、国指定史跡であるソウル太平路(テピョンロ)2街にある韓国銀行本館の礎石を管理する案を審議し、礎石をそのまま維持し、(歴史的経緯を)説明する案内板を設置することにしたと発表した。同礎石には「礎石を置く」という意味の漢字「定礎」が刻まれている。専門家らは、旧韓国銀行本館を建てていた1909年当時、礎石を築いた後に付けたものと推定してきた。文化財庁側は「案内板は礎石の傍の花壇に設置されることになる」とし、「具体的な文言と大きさは小委員会を設けて議論することにした」と伝えた。韓国銀行はこれに先立ち、文化財委員会に礎石の処理案と関連して、保存して案内板を設置する案や石材で覆い被せる案、撤去後に独立記念館に移転する案を提示した。
これと関連し、文化財庁が昨年12月、18歳以上の韓国国民1千人を対象に行ったアンケート調査では、「礎石を歴史的記録として保存し、案内板を設置すべき」という意見が52.7%、「伊藤博文の痕跡を消すべき」という意見は47.3%だった。
旧韓国銀行本館の礎石の文字は、2016年に文化財研究家のイ・スンウ氏が伊藤博文の筆跡であることを裏付ける史料を初めて発掘・公開して以来、学界やマスコミでこの問題が取りざたされ、撤去をめぐる論議が続いてきた。
昨年10月初め、文化財庁の国政監査を控えて、共に民主党のチョン・ヨンギ議員が伊藤の筆跡である可能性を再び取り上げ、処理案について質疑したことを受け、文化財庁は専門家調査を行い、同月21日、伊藤の真筆であるという結論を発表した。