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『火山島』著者の金石範氏「辺野古は4・3抗争を連想させる」

登録:2015-11-09 23:18 修正:2015-11-10 06:23
日本語版復刊記念会で「あの時も済州島の外からきた軍と警察が虐殺」
8日午後、東京武蔵野市の成蹊大学で開かれた『火山島』復刊記念シンポジウムで金石範氏がお礼の言葉を述べている=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

 「当初はお礼だけ申し上げようと思っておりましたが、20分ほど長くなりました。数日前、お酒を飲んでテレビを付けたら(米軍基地の拡張反対運動が行われている沖縄)辺野古の姿が出てくるではありませんか?」

 8日午後、東京武蔵野市の成蹊大学で開かれた『火山島』復刊記念シンポジウム。野崎六助氏や高澤秀次氏など、日本の文学評論家4人が「戦後日本文学と金石範の『火山島』」をテーマに2時間にわたって行ったシンポジウムが終わってから、この日の主人公である在日朝鮮人小説家、金石範(キム・ソクボム)氏(90)が演壇に上がった。彼の最初の言葉は、意外にも、沖縄で行われている辺野古基地反対闘争だった。

 「安倍政権は安全保障関係法制を改正して憲法で禁止されていることをしようとしていますよね。実際、彼らが戦争をするかどうかはわかりませんが、とにかく法的にはそのような準備を整えています。丁度テレビ画面に辺野古で警察と衝突しているお婆さんたちの姿が映りました。ところがアナウンサーが、現場に出動した警察は東京の警視庁から派遣された人たちだと言っていました。となると、沖縄には警察が不足しているのかな。これは奇妙な事態だと思いました。私は沖縄に対する日本政府のこのような仕打ちは、内部(国内)植民地への侵略とまでは言えなくても、とにかくそのような政策だと思います。こんな事態を目の当たりにすると、自然に済州島と比較してしまいます」。「4・3抗争」の際、済州島で虐殺を主導したのも、島出身ではなく、内地から渡ってきた軍と警察だった。

 ただならぬ雲行きを見せている韓日両国の安保環境の変化を反映したからだろうか。朝鮮半島の解放政局で行われた最も悲劇的な出来事である「4・3抗争」を題材にした『火山島』の韓国語翻訳作業が終わり先月出版されたのに続いて、原本である日本語版も今月、岩波書店から復刊された。

 出版を祝うために、ノーベル文学賞受賞者である大江健三郎氏、岡本厚 ・岩波書店社長などで構成された記念シンポジウム実行委員会がこの日の行事を用意した。

 このシンポジウムに出席するため日本を訪れた『火山島』の韓国語翻訳者のキム・ファンギ東国大学日本研究所長は「9年前、金石範先生と慶州(キョンジュ)を旅行しながら『火山島』を翻訳してみてもいいじゃないかと言われて、訳し始めたのがきっかけだった。非常に大変な作業で、途中で投げ出したいとも思ったが、(金先生が常連の)上野の青鶴洞で先生に会って勇気をもらい、完成することができた」と述べた。彼は続いて「韓国にもパク・キョンㇼの『土地』やファン・ソギョンの『張吉山』など、様々な大河小説があるが、解放政局を正面から取り上げた長編大河小説はなかった。『火山島』はそんな韓国文学史の大きな空白を埋めた作品であり、今後この作品に対する韓国国内の活発な研究活動と議論が行われるだろう」と述べた。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-09 20:36

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/716678.html 訳H.J

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