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[インタビュー]自身のホームレス体験をウェブ漫画にした『キルリオン』が話題

登録:2016-05-04 23:21 修正:2016-05-05 07:12
「誰だってホームレスになる」 
ウェブ漫画を連載するキム・テヒョン氏
自身のホームレス体験を素材にしたウェブ漫画『キルリオン』を連載する作家、キム・テヒョン氏 //ハンギョレ新聞社

 「ホームレスも、ホームレスでない人と何も変わらない普通の人です。各々の事情から街頭に追い出されただけでしょう」。ホームレス漫画『キルリオン』の初の連載を控えたキム・テヒョン氏(51)が話した。

 キム氏はウェブ漫画の文の作家であり主人公“テウォン”のモデルだ。 キルリオンはキム氏のホームレス生活を基に作られた実話を基にしたウェブ漫画だ。 ホームレス支援宗教協議体である宗教界ホームレス支援民官協力ネットワークが、ホームレスに対する一般の人々の否定的認識を改善するために企画した。 キム氏が文を書いて画家のシンウン氏が絵を担当した。 ウェブ漫画の題名は「道で生きる人々」という意味でキルリオンにした。

 キム氏は以前は繁盛していた貿易会社の代表だった。 1997年に外国為替危機が迫り、事業拡張のために借りた融資金の利子が日々増えていった。 会社は不渡りを出し、妻とは翌年に別れた。 夜逃げを敢行した彼は、英語塾の講師、野菜の行商などをして生計をたてた。 工事現場で足を負傷し日雇いの仕事もできなくなり、2006年に全羅南道麗水(ヨス)駅で寝泊まりするようになった。 「私は他のホームレスとは違う」という自尊心のために最後まで脱がなかった洋服に穴が空く頃になって、定食屋のゴミ箱から残飯を漁っている自身を発見した。 彼は2008年にソウル駅に移り住み、2010年に野宿生活を終えるまでの5年間を路上で生きた。

 キム氏は「ホームレスにもそれぞれ『路上で生きざるをえない理由』があることが分かった」と話した。 ウェブ漫画には彼が路上で出会い縁を結んだ実在の人物が登場する。 工事現場で事故に遭って脊椎に鉄芯7本を打ち込んでいるロボコップ、知的障害3級障害者のキウ、女ホームレスのチュンジャらだ。 貿易会社に通う非ホームレスのソヨンもホームレスへの給食奉仕で出会い恋愛関係に発展したキム氏の恋人をモデルにした。 特に「麗水のおばさん」であるチュンジャは2012年に亡くなったホームレスで、靴工場の作業部長に強姦され、夫と死別して婚家からも捨てられてホームレスになった。 ウェブ漫画は彼らが予想もできない事件を経て、ホームレスも非ホームレスも路上で人生を学んでいくキルリオンであることを悟る過程を描いている。

 キルリオンは今月7日に初連載が始まる。 22回にわたりモバイル・コンテンツ・プラットホームであるカカオページを通じ、毎週土曜日に公開される予定だ。 路上生活で得た悟りで講演家、作家として第2の人生を送っているキム氏は「ホームレスを忌避したり恐れるのをやめて、私たちの社会の矛盾の被害者として見て欲しい」と話す。

ホームレス漫画『キルリオン』の 代表のイメージ=宗教界ホームレス支援官民協力ネットワーク提供//ハンギョレ新聞社

コ・ハンソル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/742499.html 韓国語原文入力:2016-05-04 20:54
訳J.S(1357字)

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