朴槿恵(パク・クネ)政権は12日に事実上国民から政治的不信任を受けた。正統性を失い機能も麻痺した破綻政権に転落した。このような政府が外交・安保にとって非常に敏感な韓日軍事情報保護協定を一瀉千里に進めている。有り得ない話である。「国を売り飛ばす行為」という表現が出てくるのも不思議ではない。
韓日軍事情報協定は日本側が要請して2012年6月に締結直前まで行ったが、密室推進論議が起きて失敗に終わったことがある。その後特別な動きを見せていなかった国防部が先月27日に突然交渉再開を宣言して、1日(東京)と9日(ソウル)の実務者会議を経て、14日に東京で3回目の会議を開いて仮署名までした。この過程でハン・ミング国防長官が約束していた「国民共感形成」などの作業はほとんどなされかった。
韓日軍事情報協定については、日本が持っている北朝鮮の核ミサイル情報の獲得などが北に対する抑止のために必要だという賛成の主張もこれまであったが、韓米日ミサイル防御網に編入される恐れが高いために中国を刺激してかえって朝鮮半島の安保環境を悪化させるという理由から反対の方が多くなっていた。日本の軍事大国化と歴史修正主義を容認する側面も無視することはできない。
国防部がこのような複雑で敏感な問題を押し進める理由は二つあると推測される。一つは中国牽制のために韓米日三角安保体制構築を北東アジア安保の最優先順位に置いているアメリカの圧力で、もう一つは「チェ・スンシル」スキャンダルで死に体にある大統領を救うこである。二つとも韓国の国益よりは米国や日本の利益、朴大統領の私益を優先しおり、問題が深刻だ。
韓国のように周辺国より国力が弱い国は、普段から交渉力を発揮することは難しい。まして国民の不信と外国の嘲弄を受けている政権が力を発揮することなどできるだろうか。この時点で協定を推進するのは、ロウソクの炎に油をかけることになるだけである。
韓国語原文入力:2016/11/14 17:29