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[ニュース分析] 支配力強化するサムスン電子イ・ジェヨン副会長

登録:2015-05-27 01:05 修正:2015-05-27 11:44
左からイ・ゴンヒ会長とイ・ジェヨン副会長=資料写真//ハンギョレ新聞社

 サムスン物産・第一毛織合併
 3世継承作業が本格化
 サムスン物産事実上の持株会社に
 「合併で総帥の持分を高評価」との指摘も

 第一毛織とサムスン物産の合併決定の理由として、サムスン側は「事業の相乗効果」を強調した。しかし、それよりも、「サムスン3世継承作業の本格化」が重要だというのが、サムスン内外の共通の認識だ。特にサムスン物産の株価が低く評価された時点で合併を決定し、第一毛織の株主が相対的に大きい利益をあげたとする意見が多い。第一毛織はイ・ジェヨン・サムスン電子副会長(23.2%)など、総帥一家の持分が42.2%に達する。

 両社が合併されると、売上高34兆ウォン(約3兆7728億円、1円=約9ウォン、2014年基準)に建設、商社、ファッション、リゾート、飲食部門を網羅する超大型総合サービス企業になる。サムスンは「建設部門で第一毛織の造景・エネルギー管理とサムスン物産建設部門の競争力が結合し、ファッション部門では第一毛織のファッション事業とサムスン物産商社部門の海外営業インフラを活用するなどの複合効果を期待する」と発表した。また、合併会社は、サムスンが代表的な次世代事業に挙げるバイオロジックスの最大株主となるため、この事業を積極的に推進できるようになる。サムスンは合弁会社が2020年には売上高60兆ウォン、営業利益4兆ウォン台のグローバル企業に成長すると予想している。

合併以降のサムスングループの支配構造の変化(単位%)//ハンギョレ新聞社

 事業で相乗効果が「手形」であれば、イ・ジェヨン副会長の支配強化と支配構造の単純化は合併がもたらす「現金」とも言える。合併会社は、サムスン生命、サムスン電子を媒介として、他の系列会社を支配する事実上の持株会社となる。イ副会長は合併会社の株式16.5%で、個人筆頭株主となり、サムスン生命の既存の支配力に加え、サムスン電子に対する支配力をさらに強化するものと見られる。このほか、イ・ブジン・ホテル新羅社長とイ·ソヒョン第一毛織のファッション部門社長の株式がそれぞれ5.5%、イ・ゴンヒ会長の持分が2.9%で総帥一家の持分は30.4%だ。安定的に経営権を行使するのに無理のないレベルだ。

 合併会社の社名をサムスン物産としたのは、そのような点で象徴性が大きい。サムスン物産は、サムスングループの母体企業として1938年に設立されて以来、1975年総合商社1号に指定された。サムスン側は「グローバルブランドの認知度を考慮して、サムスングループの創業の精神を継承する趣旨」だと説明した。

サムスン物産が保有している株式価値の現況。資料:金融監督院電子公示、FNガイド(5月22日終値基準、非上場記企業除外)//ハンギョレ新聞社

 市場では、第一毛織とサムスン物産の合併比率が1対0.35で、保有資産が多いサムスン物産が相対的に低評価されたという指摘が出ている。サムスン系列会社の保有持分と不動産などの資産価値が29兆5058億ウォンに達するサムスン物産を、現時点で第一毛織との株価の比率で換算し、8条6300億ウォンに低評価したということだ。サムスン物産が保有する株式の価値(上場企業基準)だけでもサムスン電子8兆681億ウォン、サムスンSDS3兆5022億ウォンなど12兆ウォンを超える。

 香港の機関投資家のある役員は、「今回の合併は事実上イ・ジェヨン副会長のための株式の整理」だとし、「イ副会長のグループ承継のための一歩をなぜこのようなものにしたのか、理解できない」と述べた。国内証券会社の首席研究委員は、「今後、サムスン物産の建設事業に、サムスン電子平沢(ピョンテク)ラインへの投資やサムスンディスプレイLCD投資など、好材料が多い」とし「株価が上昇する可能性が高いが、現在の時点で合併を決定したことで、第一毛織が良い評価を受け、イ・ジェヨン副会長など総帥一家の持分も高く評価された」と述べた。イ副会長など、サムスン三兄妹は、1997年当時サムスンエバーランド(現第一毛織)転換社債(CB)を安値で買い入れて、昨年末、第一毛織の上場に数百倍の差益を手に入れたという批判を受けた。

 合併が実現されるためには、株主の反対を乗り越えなければならない。合併計画によると、株式買取請求額が1兆5千億ウォンを超える場合、合併契約を解除する条項が設けられている。合併に反対する株主の株式買取請求権の行使価格は普通株式に基づいて第一毛織が15万6493ウォン、サムスン物産が5万7234ウォンである。キム・サンジョ漢城大学教授(経済改革連帯所長)は「サムスン物産が低評価された状況で、株主への株式を持ち続けていれば利益になるという合弁会社の明確なビジョンを示さなければならない」とし、「それができない場合は、サムスン重工業とサムスン・エンジニアリングのように合併が失敗に終わり兼ねない」と述べた。

 しかし、株価の流れから見て、合併が失敗に終わる可能性はそれほど大きくないと思われる。この日、サムスン物産の株価は、直前の取引日(22日)に比べて14.83%上昇した6万3500ウォンで取引を終えた。第一毛織株価もストップ高まで上がって18万8000ウォンで取引を終えた。両方とも株式買取請求権の行使価格を上回った。

イ・ジョンフン、キム・ヒョジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-05-26 20:01

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/692916.html 訳H.J

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