本文に移動

[社説]光復70年、分断を越えて和解と統合へ

登録:2014-12-31 22:45 修正:2015-01-01 00:19

 光復70年の新年初日だ。日帝の植民支配から解放されたその日、3000万民族は一つになって等しく豊かに暮らす幸せな国を夢見ただろう。 70年が過ぎた今日、私たちの現実はどうなのか. 南北対峙はますます険悪になり、南側は再び理念対立に分かれて、民主主義は維新時そっくりに退行して、階層間格差は一層大きくなるなど、国の姿がこわれている。 今年は70年間続いてきた南北分断体制を克服し、和解と統合の糸口を見つける一年になるよう願う。

 先ず最初に解消しなければならない積弊は南北の葛藤だ。 南北葛藤は韓国内の理念対決を呼び起こし、韓国の政治のみならず経済、国防、文化など社会全般を歪曲して固く締めつける核心要素だ。 南北葛藤と対立の局面を対話と平和の局面に切り替えずしては国家安保も、民主主義の進展も、経済民主化も成し遂げられない。 もちろん統一も期待できない。

 李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権は、南北関係改善に消極的だった。 保守勢力の支持を基盤とした二つの政権は、むしろ南北葛藤を助長してこれを国内政治に利用したりした。 18代大統領選挙で北方境界線(NLL)論議を起こして選挙を自分たちに有利な側に導き、憲法裁判所は統合進歩党を解散して敵対的な北朝鮮を最大限に引用した。 最近の従北公安追い込みも、南北葛藤と理念対決を滋養分として猛威を振るっている。

 そのような中でも希望の火種を見る。昨年末、リュ・キルチェ統一部長官が北朝鮮に当局間会談を提案した。 今回だけは一回きりの提案に終わらず、真正性ある対話と交流につながることを期待する。 先ず離散家族対面の定例化、金剛山(クムガンサン)観光の再開と5・24措置緩和・解除などから始まって、南北間に信頼を積んでいかなければならない。 そうした後にさらに進展して経済協力、政治、核問題などに拡大して本格的な南北和解局面を作るのが順序だ。 周辺強大国を対話の場に引き込む努力も併行することはもちろんだ。 そうするためには何よりも韓国政府の強力な意志と忍耐心、そして包容力が絶対的に必要だ。

 民主主義の復元も緊急課題だ。 李明博・朴槿恵政権をたどりながら、私たちは維新時そっくりに退行している民主主義の残酷な現場を目撃している。 国家情報院と国軍サイバー司令部などの国家機関が、堂々と選挙に介入して選出職国会議員が任命職裁判官によって議員職を剥奪された。 70年代に流行した反政府印刷物が都心各所にまかれる現実は、韓国の民主主義がどれほど後退したかを象徴的に見せている。

 民主主義は保守と進歩の問題ではない。 持てる者、あるいは持たざる者の専有物でもない。 国の主人である国民が自身の考えと政治的見解を自由に表現でき、そのような多様な意見が色々な制度的装置を通じて国政に反映され、人間の尊厳性が最大限に保障されるための制度だ。 このような民主的価値が今後も毀損され続けるならば、民主共和国としての大韓民国のアイデンティティは深刻な打撃を受けることになるだろう。 市民が力を集めて民主主義き損勢力に最後まで抵抗しなければならないのはこのためだ。

 韓国社会の全部門にわたり急速に進行している両極化は、社会統合を遮る決定的な要因だ。 特に非正規職の量産による労働階層の貧困化は、所得両極化をより一層深化させ韓国経済の足をも引っ張っている。 企業とごく少数の富裕層に富が過度に偏重されれば、民間消費が萎縮して企業は売上不振のために倒産の危機に処するなどの悪循環に陥る。 このような悪循環を抜け出すためには、賃金引き上げを通した所得主導型の成長に経済政策を全面的に切り替えなければならない。 企業所得を家計所得に大幅移転して、個人消費を促進することによって経済に活力を吹き込まなければならないということだ。

 しかし、韓国政府は低賃金に苦しむ非正規職を量産する“チャン・グレ(韓国の人気サラリーマン漫画「未生」の主人公)法”を推進するなど逆に走っている。 このままでは経済活性化どころか階層間格差と社会的葛藤が一層拡大するだけだ。 究極的な解決法は、政府と企業が労働者を正当な対話相手として認定し、労使政の大妥協を成し遂げることだ。 たとえ困難でも政府と企業、そして労組が真正性を持って対話に臨む道しかない。 その過程で政府は徹底的に中立を守って労使両側の利害関係を適切に調整する政治力を発揮することが何より重要だ。

 和解と統合を実現するには、権力と富を独占している既得権層が先に自身の一部でも放棄することが当然な道理だ。 容易なことではない。 特に歴史の水車を逆に回している朴槿恵政権と保守・冷戦勢力にこれを期待するのは現実的に不可能かも分からない。 それで、分断による矛盾を克服して共に生きていく人間中心の共同体を作ろうとする市民社会の力量強化が切実に求められる。 退行している歴史の車輪を再び前に回せるだけの市民社会の力量が蓄積された時、初めて既得権層との和解と統合も可能になるからだ。

 そうでなければ、韓国社会の葛藤指数は今後も高まって、抵抗の強度も一層強まるだろう。 そうすればいつか極限状況に達し爆発する。 そのような状況が繰り返されたのが光復70年の歴史ではなかったか。 今こそ70年間にわたって我が民族の生命エネルギーを蚕食してきた葛藤と分裂の時代を終わらせ、和解と統合の糸口を見つけて前に出なければならない時だ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/671717.html 韓国語原文入力:2014/12/31 20:04
訳J.S(2366字)

関連記事