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尹大統領、弾劾審判宣告を控えても無言…「計算された沈黙」の疑い

登録:2025-04-03 07:55 修正:2025-04-03 09:18
尹代理人団「メッセージ発する計画なし」 
罷免決定されても強硬支持層を足場に 
早期大統領選挙局面で影響力保つつもりか 
尹錫悦大統領が3月8日午後、京畿道義王市のソウル拘置所から釈放され、支持者たちにあいさつしながら歩いている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 憲法裁判所による大統領弾劾審判の決定言い渡しを控え、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「憲法裁の決定に従う」ことを約束すべきだとの声が強い。だが尹大統領は、言い渡しを2日後に控えた2日にも「沈黙」を守っている。憲法裁の決定が出る前に「どんな結論が出ても従う」というメッセージを発して強硬支持層をなだめる理由はないと判断したとみられる。弾劾が認容されても強硬支持層を足場として政治的影響力を保つことを狙った「計算された沈黙」だとの解釈も示されている。

 この日、政府と政界からは「憲法裁の決定に従う」ことを強調する声が相次いだ。ハン・ドクス大統領権限代行首相は政府ソウル庁舎で治安関係長官会議を開催し、「いかなる決定が下されても、我々は法治主義の原則に則り、その結果を落ち着いて、かつ冷静に受け入れなければならない」と述べた。この日、ソウル汝矣島(ヨイド)で開かれたウ・ウォンシク国会議長と元国会議長との昼食懇談会でも、「ウ議長は、弾劾でどんな結論が出ても国会交渉団体は従うということを表明することから始めるべきだ」(キム・ジンピョ前議長)との声があがった。与党「国民の力」は、棄却を前提としているものの、前日に続きこの日も「憲法裁の決定に従うべきだ」との立場を保った。

 しかし尹大統領の法律代理人団はこの日、これといった立場を明らかにしていない。尹大統領本人も、拘束取り消し決定によって拘置所から釈放された先月8日以降、支持者への感謝のあいさつ(3月8日フェイスブック)、焼身自殺した支持者に対する弔意(3月20日大統領室参謀)、山火事被害に関する発言(3月23日フェイスブック)の3回以外は、「沈黙モード」を保っている。尹大統領側の関係者は、「結果を予断することなく、落ち着いて見守る。直ちにメッセージを発する計画はない」と述べた。憲法裁の決定までは、従うとのメッセージは発しない方向で考えているとみられる。

 政界では、12・3内乱直後に官邸前などに結集した強硬支持層の力を確認した尹大統領は、憲法裁で罷免が決定されても政治的な足場と影響力を維持するために沈黙を守り続けるだろう、との見方が有力だ。早期大統領選挙が展開された場合、弾劾に反対した支持層を背景として、与党に対する影響力を何とか維持するという意志表明ではないか、ということだ。

 慶煕大学公共ガバナンス研究所のチェ・ジンウォン教授は、「尹大統領の沈黙には、職務復帰に対する期待と強硬な支持者に対する『最後まで戦う』という意志表明が込められているとみられる」として、「今の雰囲気では、罷免後に自身を守ってくれる与党候補を選択する可能性もあるようにみえる」と語った。

イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1190302.html韓国語原文入力:2025-04-02 18:37
訳D.K

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