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「青瓦台より安全」豪語した韓国大統領室、米盗聴問題でセキュリティ強化に10億円

登録:2024-07-12 06:12 修正:2024-07-12 08:45
大統領室、予備費約86億ウォンを割り当てる
尹錫悦大統領が2月4日、ソウル龍山大統領室庁舎で行った「韓国放送(KBS)」特別対談「大統領室を訪ねる」の録画に先立ち、廊下に展示されたペットたちと大統領の写真を紹介している=大統領室提供/聯合ニュース

 韓国大統領室が昨年、警護・警備システムの強化を理由に企画財政部から予備費86億6600万ウォン(約9億9500万円)を新たに配分されたのは、国家安保室に対する米国情報機関の盗聴・傍受疑惑が持ち上がった後だったことが明らかになった。疑惑が浮上した当時、大統領室は「青瓦台より龍山(ヨンサン)大統領室のセキュリティの方がより強力だ」として、盗聴・傍受疑惑を否定したが、実際には問題発生を受け一歩遅れて事後措置に出たわけだ。

 11日、野党「共に民主党」のチョン・ソンホ議員室が企画財政部から受け取った答弁資料によると、企画財政部は昨年予備費を追加で配分した経緯を「2023年上半期、マスコミで大統領室に対する盗聴・傍受疑惑が持ち上がった後、警護処と予備費について協議してきた」と説明した。米国情報機関による盗聴・傍受疑惑が予備費の追加配分の原因になったという意味だ。

 昨年4月、海外のソーシャルメディアには米国情報機関のウクライナ戦況に関する機密文書が数多く流出した。その中には昨年3月、キム・ソンハン国家安保室長とイ・ムンヒ外交秘書官(いずれも当時)が「ウクライナに砲弾を供与してほしい」という米国の要求について話し合う内容が詳細に綴られた文書も含まれていた。ニューヨーク・タイムズなど米国メディアはこの情報の出所が「シギント」(通信、電磁波、信号などの情報)、すなわち盗聴・傍受を通じて獲得した情報だと報じた。

 これに対し野党から「大統領室のずさんな移転でセキュリティ上の重大な事故が起きた」という批判が殺到したことに対し、大統領室は「青瓦台より龍山の大統領室のセキュリティの方がより強固だ」と強く反論した。当時、大統領室の主要関係者は記者団に対し、「庁舎のセキュリティ問題は移転当時から完璧に準備しており、これまで何の問題もなかった」とし、「青瓦台時代のバンカーは地上に突き出ており、セキュリティや保安については龍山の方がより安全だ」と主張した。

 だが、このような疑惑が持ち上がってから5カ月後の同年9月、大統領警護処は86億6600万ウォンの予備費を追加で配分され警護・警備システムの強化に乗り出した。政府はこのうち約24億ウォン(約2億8千万円)を昨年使い、約54億8500万ウォン(約6億3千万円)を今年に繰り越した。約7億3600万ウォン(約8500万円)は不用額として処理した。

 大統領室の移転に伴う費用は毎年増えている。尹大統領は当選者時代の2022年3月、大統領室の移転に「496億ウォン(約57億2600万円)を要する」と述べたが、これまで明らかになった予備費だけで639億5872万ウォン(約73億8400万円)に達する。

イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1148763.html韓国語原文入力:2024-07-11 20:14
訳H.J

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