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尹政権、米盗聴は「偽りの疑惑」との主張から「確定していない」に後退

登録:2023-04-15 07:31 修正:2023-04-15 07:58
第20代尹錫悦大統領の公式の任期が始まった2022年5月10日、青瓦台(旧大統領府)から移転したソウル龍山の大統領執務室=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 米国防総省の機密文書流出で波紋が広がっている韓国国家安保室での議論の盗聴問題について、政府高官が「政府は盗聴・通信傍受があったかどうかを確定していない」と明らかにした。「龍山(ヨンサン)大統領室での盗聴・通信傍受疑惑はとんでもない偽りの疑惑」だとしたり、悪意のある盗聴の状況ではないとする立場を変え、盗聴の可能性を否認しなかった。

 政府高官は13日(現地時間)、ワシントンの特派員らとの記者懇談会で「盗聴・通信傍受はなかったと政府が確定することには、国民は納得しがたいのではないか」という質問に「政府も確定していない。まだ判明していないということだ」と明らかにした。さらに、「我々もまだ(盗聴・通信傍受があったかどうかは)分からない」とし、「いろいろなことを調べている」と述べた。

 政府高官は「機密流出疑惑で米軍の一等兵が逮捕されたことは、政府が文書は偽造されたと明らかにしたことと相反するのではないか」という質問には、「多くの点で時間を要しており、米国が調べなければならない段階だと考えている」と答えた。また、盗聴されたかどうかは「米国側でもまだ確認できていない」とし、「相手が我々に対して情報活動を行う可能性はどこの国にもある。我々もそうした活動をしないとは保障できない」と述べた。

 同高官は、キム・テヒョ国家安保室第1次長が「悪意を持って(盗聴を)行ったという状況は発見されていない」と述べたことについては、盗聴の事実が明らかになっていないためだと説明し、「米国が我々を盗聴したと確定するほどの根拠がないという話」であり「現時点では悪意のある行動はなかったとみなすという話だった」と述べた。

米国防総省のパトリック・ライダー報道官が13日、記者会見をしている/AFP・聯合ニュース

 キム・ソンハン前国家安保室長とイ・ムンヒ前外交秘書官の議論内容が電子メールなどを通して盗聴された可能性については、「事務室の外で他の人たちと対話することもあり、その人が話した内容を伝え聞くこともありうる」としたうえで、「非常に多くの変数がある」と述べた。だが、韓米の国防長官が、文書は相当部分が偽造されたものだとして意見が一致したと明らかにしたことについては、「公開された資料が事実と合致しない」という趣旨の説明だと語った。

 文書に「シギント」(電子装備を利用した盗聴・通信傍受)が情報の出所と記されているという指摘についても、同じ説明を繰り返した。同高官が米国による盗聴の可能性を否定しないのは、米国の調査結果が出るかもしれない状況において、根拠なしに盗聴はなかったと主張しているという批判を意識したものとみられる。

 同高官は、合衆国政府の関係者らは「同盟国に多大な迷惑をかけた」として「非常に困惑しており、申し訳ないという雰囲気も歴然としていた」と伝えた。だが、盗聴・通信傍受を認めたのではなく、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の国賓訪問を控え、「韓国で是非を問う様々な雰囲気」があるためだと語った。

 今回の文書流出によって重大な関心事として浮上したウクライナへの砲弾支援問題については、「首脳会談では議題になる必要はないようだ」とし、「過去数カ月間、韓米両国はその時々の必要に応じて決定し、必要な措置をとってきた」と述べた。また、北朝鮮核問題の対応については、「本当に国民からみて体感できる総合的な拡大抑止力がすでに計画されているという姿」を示せるよう努力していると明らかにした。また、韓米のサイバー安全保障協力を強化する内容の文書が発表され、原子力での協力も議論されると述べた。反中安全保障協力体であるクアッド(Quad、米国・日本・インド・オーストラリア)への韓国の加盟問題については、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)が、より多くの国が包括的に(協力問題を)扱う場所になった」とし、議題にならないだろうと述べた。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1087907.html韓国語原文入力:2023-04-14 21:59
訳M.S

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