本文に移動

日本政府、被告企業は「賠償に参加しない」方針固めたもよう

登録:2023-03-03 06:31 修正:2023-03-06 07:35
パク・チン外交部長官(中央)が先月28日、ソウル瑞草区の弁護士会館で強制動員被害者遺族と面談した。左からソ・ミンジョン外交部アジア太平洋局長、パク長官、シム・ギュソン日帝強制動員被害者支援財団理事長=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は日帝強占期の強制動員被害者賠償問題をめぐり日本との交渉に拍車をかけているが、日本政府は強制動員被告企業(三菱重工業、日本製鉄)が被害賠償には参加しないという結論を下したと伝えられた。これを受け、合意に失敗した場合、韓国政府が先に最終案を発表し、日本に圧力をかける案が検討されているという。

 2日、外交筋の説明によると、韓日外交当局は強制動員被害賠償に日本の被告企業が参加する問題をめぐり大詰めの交渉を行っている。韓国政府は行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団(支援財団)を通じて被害者に賠償金を支給する「第三者弁済」案を掲げる一方、日本側に「誠意ある呼応」として日本の被告企業が賠償金に参加するよう求めてきた。

 しかし、日本側が被告企業は賠償金に参加しない案を最終決定したことが分かり、政府は日本との交渉を続けるかどうかについて頭を悩ませている。韓日外交関係に詳しい消息筋は「被告企業がお金を出すよう韓国政府が(日本側に)圧力をかけてきたが、結局お金を払わない方向に固まっている状況」だとし、「被告企業の取締役会で(賠償への参加は)背任という反発の声があがっているという。被告企業の最高経営者(CEO)としても独断で決めるのは難しい状況」だと述べた。

 日本の被告企業が参加しないまま、韓国企業の資金だけで支援財団を通じて賠償が進められた場合、「韓日政府は被告企業の寄付への参加を求める」という最小限の政治的メッセージを発表することを韓日双方が検討しているという。ただし、日本企業が「日帝強制動員被害者支援財団」という名称に強い拒否感を示しており、この案もまた最終合意に至るかは不透明だ。このため「第三者弁済」に日本の被告企業の参加を求める内容を盛り込んだ最終案を韓国政府が公式発表し、日本政府に最後の圧力をかける案も共に検討されているという。

 韓日両国は最近、立て続けに強制動員被害者賠償をめぐる交渉を行ってきた。両国が先月18日にドイツのミュンヘンで開かれた外相会談後、再び実務者の局長級の交渉に臨んでいるのは、交渉が大詰めを迎えているためという分析もある。これまで日程を公開してきた韓日局長級会談の開催の有無を非公開にしたのも、このような分析を裏付けるものとみられている。

 しかし、被告企業の賠償と謝罪を引き出せなかった場合、被害者側の激しい反発が予想される。(これを懸念したためか)最近は被害者の説得にパク・チン外交部長官が自ら乗り出している。先月28日、パク長官が主要20カ国・地域(G20)外相会議の出席を取りやめてソウルで強制動員被害者遺族に会い、日本との協議の内容を説明したのもこのためだ。

 福島第一原発汚染水の海洋放出など、韓日関係に影響を及ぼしかねない悪材料が目前に迫っていることも、政府が強制動員交渉を急ぐ理由の一つとみられる。今年1月、日本政府と原発運営会社の東京電力は、今春か夏頃に汚染水の放出を開始する計画を発表し、海底トンネルなど放出に必要な施設を設置する工事を行っている。他の政治的な事案とは異なり、福島第一原発汚染水の放出は健康と直結する問題であり、日本に向けた国内世論を悪化させる可能性が高い事案といえる。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1081964.html韓国語原文入力:2023-03-03 02:41
訳H.J

関連記事