「強制動員の本質は被害者救済という人権問題だ。加害企業(被告企業)は責任を果たさなければならない」
名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会や日本製鉄大阪訴訟弁護団など、30年近く強制動員被害者の訴訟を支援してきた日本の6団体が、被告企業の三菱重工業と日本製鉄が問題解決に直接乗り出すよう求めた。これらの団体は2018年の韓国最高裁判決が出る前の1990年代後半、日本で行われた強制動員被害者賠償訴訟を支援した日本の弁護士らと市民団体だ。
支援団体は先月28日午後、東京千代田区にある東京地方裁判所で記者会見を開き、強制動員被害者賠償訴訟で敗訴した被告企業である日本製鉄と三菱重工業に問題解決を求める「要請書」を提出したと明らかにした。強制動員被害者賠償問題が韓日関係の最大の争点であるだけに、両国の記者たちが記者会見場を埋め尽くした。
これらの団体は要請書で、「韓国の最高裁(大法院)が強制動員被害者に対する不法行為を認め、賠償を命じる判決を下してから4年余りが過ぎた。まだ両社は判決を履行していない」と批判した。さらに「現在、日韓政府の間でこの件と関連して交渉が行われている。ところが、当事者である加害企業は他人事のようにこれを見ているだけだ。理解に苦しむ」と指摘した。それと共に最高裁判決を土台にこの問題を解決するために加害事実を率直に認め、謝罪と賠償に乗り出すことと、原告側と協議の場を作ることを求めた。
また、韓日交渉が大詰めを迎えている状況で、被告企業が乗り出さなければ問題解決は難しいと主張した。「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」の矢野秀喜事務局長は「韓国のパク・チン外交部長官が18日、ドイツのミュンヘン安全保障会議で日本の林芳正外相と会談し、日本側に『政治的決断』を求めた。被告企業が責任を果たさなければならない」と強調した。
被告企業の無関心は常識的ではないという主張も出た。「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」の高橋信代表は「三菱側は当初『建設的で肯定的になるよう(問題の解決に)誠実に臨む』、『判決とは別に実現可能な解決があれば』などの立場を明らかにしたことがある。ところが、今は他人事のように何もしない。常識とかけ離れている」と批判した。同団体は2007年から三菱重工業本社前で毎週金曜日に問題解決を求め集会を開いている。先月17日までに520回実施された。
日本の最高裁判所の判決趣旨を生かすべきだという指摘も出た。足立修一弁護士は「日本の最高裁が西松建設と関連した訴訟で被告企業と日本政府に下した勧告内容を軸に、解決の道を模索しなければならない」と述べた。
2007年4月、日本の最高裁は中国で強制動員された労働者と遺族が西松建設を相手に起こした損害賠償訴訟で、被害者らの請求を棄却したが、判決文の付言で「被害者のこうむった精神的、肉体的苦痛が極めて大きかった…被害の救済に向けた努力することが期待される」と明示した。これをもとに2009年、被告企業が強制動員の事実を認め謝罪し、被害者に補償金を支給した。