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誰が戦争を決めるのか 【寄稿】

登録:2026-03-11 06:43 修正:2026-03-11 08:35
ソ・ボクキョン|ザ・可能研究所代表
米国がイラン攻撃を開始した2月28日(現地時間)、米国ニューヨーク・マンハッタンのタイムズスクエアで、市民たちが「中東で新たな戦争はダメだ」「イランとの戦争ではなく国民のための資金が必要だ」などと書かれたプラカードを掲げ、反戦デモを行っている/AFP・聯合ニュース

 米国とイスラエルによるイラン攻撃で2月28日(現地時間)に戦争が勃発してから1週間が過ぎた。すでに多くの人々が命を落とし、これからも死んでいくだろう。戦争で死亡した人々よりもさらに多くの人々の生計と生活が脅かされており、それ以上に多くの人々がリアルタイムでこの戦争を見守りながら代理トラウマ(vicarious trauma)を経験している。爆撃と爆破、大規模な殺戮の場面をリアルタイムで目にしながら、殺戮と破壊を成果だと自慢げに吹聴する人たちを見て、武器と石油がもたらす損益をまず計算する論理に晒されながら、「人間は元々残酷だ、弱肉強食の世界では平和は不可能かもしれない」という否定的な感情と認識が多くの人々の脳内で積みあがっていく。

 この惨憺たる戦争を開始した最終決定権者は、米国のドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。空爆当日のビデオ声明でトランプはこう述べた。「我々の目的は、イラン政権の差し迫った脅威から米国国民を守ることだ」。ところが、これまでその「差し迫った脅威」、すなわちイランが米国国民を攻撃しようとした証拠は確認されていない。

 トランプとその政府が保護するとした米国国民は、この戦争についてどう考えているのだろうか。戦争開始直後の今月2日に公開されたCNNとSSRSの世論調査によると、米国政府のイラン攻撃決定に反対する意見は59%、賛成する意見は41%だった。同日発表されたロイター・イプソスの調査では、支持が27%、反対が43%、わからない・無回答が29%だった。6日に発表されたPBS・NPR・マリストの調査結果でも、米軍のイラン軍事行動に反対意見が56%、賛成意見が44%だった。

 米国国民の多数はトランプ大統領のこの戦争を初めから承認しておらず、今もそうだが、戦争はすでに始まっており、これまで続いている。米国バッファロー大学のカーラ・マチェイン教授はこの戦争をトランプ大統領の「復活に向けた賭け」と名付けた(フランス24の3月2日付報道)。エプスタイン・ファイル疑惑、関税賦課に対する連邦最高裁の違法判決、移民・関税執行局による米市民2人殺害事件、雇用ショックなど経済指標の低下による国内の危機を突破するための賭けだという。11月予定の中間選挙で敗北が予想される状況で、共和党とMAGA勢力内部の離反も影響があった。

 民主主義政治体制において主権者は国民だ。原理通りならば、戦争という国家的重大事を決定する主体は国民でなければならない。いかなる理由であれ、戦争開始は国民の承認に基づくべきであり、すでに開始された戦争であっても国民の支持を得られない場合は直ちに中止されなければならない。だが、現在の米国の事例は、「政権が支持を得られないため戦争という賭けを始めたが、依然として支持を得られないため、戦争を中止しない」という逆説的な状況を示している。

 この状況で、政権が国民の意思に従うようにする方法は何だろうか。憲法上の最初の解決策は議会の決定だ。今月4日、米国上院には「議会の事前承認なしにイランに対する軍事行動を継続することを禁止」するという決議案が提出されたが、47対53で否決された。翌日、米国下院には「イラン国内での未承認敵対行為を中止し、関連予算の使用を制限」する決議案が提出されたが、212対219で否決された。戦争が続いて世論が悪化すれば、再び決議案が提出され、共和党議員の離脱により可決される可能性もゼロではないが、少なくとも現時点で米国議会は戦争を止められなかった。いま残された方法は、世論の悪化、市民のより大きく強い反対のみだ。しかし米国内では「世論が悪化すれば国家非常事態を口実に中間選挙を延期するかもしれない」との見通しが示されている状況だ。

 いま米国の起こした戦争が私たちに与える教訓の一つは、民主主義において4~5年に一度行われる選挙を通じて構成される行政府と立法府が、当代の市民の意見を代表するよう強制できる制度的装置と市民的実践がいかに重要なのかに関するものだ。いったん合法的に選出された者が民意を裏切った際に使える制度的手段はあるが、時間と労力を要する。戦争のように緊迫した日程で進む重大事の場合、制度的手段が効果を生む前に、その被害はすでに取り返しのつかないものとなる。

//ハンギョレ新聞社
ソ・ボクキョン|ザ・可能研究所代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1248474.html韓国語原文入力:2026-03-09 19:29
訳H.J

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