北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が最近、金剛山観光地区に続き、完工を控えた陽徳郡(ヤンドククン)温泉観光地区の建設現場を訪れて現地指導を行ったと、北朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が25日付で報道した。同紙によると、金委員長は現地指導で陽徳郡の温泉観光地区に対する称賛を惜しまず、「金剛山(クムガンサン)観光地区とは本当に対照的」だと述べたという。
「労働新聞」は同日付の1面で、金委員長が陽徳郡温泉観光地区を訪問し、「金剛山観光地区と本当に対照的」だとして、「適当に建物を建てて利潤追求を目的とした資本主義企業の建築と、勤労人民大衆の要求と指向を具現した社会主義建築の本質的な差を、総合的かつ直観的に示している」と述べたと報道した。同紙は23日付で、金委員長が金剛山観光地区を訪れ、「みすぼらしい南側施設を全面撤去し、我々の方式で新たに建設しなければならない」と強く指摘したと報じた。陽徳郡温泉観光地区は元山(ウォンサン)葛麻海岸観光地区や三池淵郡(サムジヨングン)観光団地とともに、北朝鮮の3大力点事業に挙げられる。
「労働新聞」は同日、金委員長が「状況が厳しくすべてのものが不足している中でも、堂々と自らの力で建てた温泉観光地区は、物質的財産であると同時に精神的財産だ」としたうえで、「温泉観光地区を人民軍隊が建設したが、建設に動員された部隊は戦いの準備だけでなく、建設も見事にやってのけた」と述べたと報道した。観光地区の建設に拍車をかける軍人を励ますと同時に、北朝鮮が国際社会の対北朝鮮制裁による経済的圧迫にも屈せず、経済分野の力点事業を推進している点を強調したわけだ。
金委員長は建設現場の人たちに、「最後まで工法の要求を徹底的に守らなければならない」とし、「経験主義に頼らず、力学的、工学的計算を先行したうえで、徹底的に工法の要求、技術規定の要求どおりに行うべきだ」とし、「温泉文化が発展した国の奉仕形式と内容もよく学ぶようにしなければならない」と述べたと同紙は報じた。
一方、「労働新聞」の報道では、陽徳郡温泉観光地区の建設に北漢山の石材が動員されたことが確認できる。「労働新聞」は、金委員長が「温泉観光地区の建設に韓国の石鉱山で生産した石材を利用したことは気に入っていると評価」したとし、「建材品の国産化を実現する問題を政策的課題にし、力強く推し進めなければならない」と報道した。さらに、金委員長が「今年8月末にここを視察してからわずか50日しかたっていないのに、短い期間で陽徳郡温泉観光地区の建設が立派に完成段階を迎えたことに対し、非常に満足した」ことも伝えた。また、同紙によると、金委員長が建物を視察し「本当に特色がある」「どこに出しても恥ずかしくない」「温泉観光地区周辺の農村は農村建設のお手本になった」「これが我々式、朝鮮式の建設」と述べたという。