30年前“肉体労働”が可能な年齢(稼働年限)を60歳と決めた最高裁(大法院)が“法的に”仕事ができる最高年齢の基準を再判断する。平均年齢が高まり、経済活動に従事する高齢人口が増える社会経済的変化により、稼働年限が高まるか注目される。
最高裁全員合議体(裁判長キム・ミョンス最高裁長官)は21日、プールで亡くなったP君(2015年当時4歳)の家族がプール運営企業を相手に起こした損害賠償請求訴訟の上告審で判決を下す。1・2審はP君の逸失収入(当事者が負傷したり死亡しなかったとすれば稼げたはずの収入)を、稼働年限基準を60歳として計算し、2億8300万ウォン(約2800万円)を賠償するよう言い渡した。
最高裁は、1989年に肉体労働の稼働年限を55歳から60歳に引き上げた。しかし最近“100歳時代”が開かれ、60歳を超えても経済活動に従事する人口が増え、下級審で稼働年限を65歳と認定する判決が下されている。稼働年限が延びれば賠償金額もそれだけ増える。
稼働年限を引き上げるべきだという主張の根拠としては、期待寿命の変化▽経済活動人口構成比率が挙げられている。統計庁の「2017年生命表」によれば、期待寿命は男女平均82.7歳だ。1990年には71.7歳だった。現行の国民年金受給と高齢者福祉法上の高齢者年齢基準は共に65歳だ。原告側代理人のノ・ヒボム弁護士は「稼働年限を60歳と見ることは現実に合わない。日本は法定定年が65歳で、ドイツは67歳だ。稼働年限が65歳に延びるならば、社会全体に定年を延長する効果があるだろう」と指摘した。一方、稼働年限の引き上げに反対する側は、定年、保険料率、青年就職など社会経済的な波紋が大きいと主張する。