「国民の安全と関連しては、いかなる妥協もない。原子力発電所が絶対安全だということは神話だ。原子力は安全ではない。だから全世界に原子力発電所の規制機関がある」
韓国原子力安全委員会(原安委)原安委のカン・ジョンミン新任委員長は24日、記者懇談会を開き、原子力発電所に対する所信を明らかにした。彼は、原子力の専門家としては異例にも新古里(シンゴリ)5・6号機公論化委員会で「建設中断」の声を挙げた。ソウル大学原子核工学科を卒業し、日本の東京大学でシステム量子工学の博士学位を受け、韓国原子力研究院研究員と韓国科学技術院(KAIST)招へい教授を務めた。
今月2日に就任したカン・ジョンミン委員長はこの日、ソウル市中区のプレスセンターで記者たちに会い、「重要な時期に重責を務めることになり、重い責任を感じる」として「過度な規制で原子力発電所の運営者に被害を与えることはしないが、原子力発電所が安全でないならば安全でないと言うつもりだ」と話した。
大型地震と原発爆発事故を扱った映画『パンドラ』について「まったくでたらめだ」という主張に対する考えを尋ねると、カン委員長は「まったくでたらめだという主張の方がまったくでたらめだ」と答えた。さらに「映画で格納容器がドーンと破裂したことについてそうした話をよくするが、放射線ガスが充満して破裂することはありうる」として「そうした事故を防止するために、排気・減圧設備(CFVS)をすべての原発に設置する」と明らかにした。この設備は、韓国国内にある24の原発のうち、月城(ウォルソン)1号機にしか設置されていない。
原安委はこの日、事業者の原発事故無制限責任原則を原子力損害賠償法に明示する法改正を推進する計画だと明らかにした。現在は、韓国水力原子力の法定損害賠償責任限度は一つの敷地当たり5千億ウォン(約5百億円)と定められている。原安委によれば、日本の福島事故の損害賠償額は、昨年12月基準で75兆ウォン(約7.5兆円)に達する。
カン委員長は一部で「脱原発論者」というレッテルを貼られていることに対して「自分が脱原発論者だと考えたことはない。新古里5・6号機に反対したのは、一つの敷地に原発を多く建設されては危険なため」とし「安全な原発運営は支持する」と話した。