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[記者手帳]汚職疑惑事件で目立つ韓国法務部長官の“捜査外圧”

登録:2015-04-24 23:35 修正:2015-04-25 06:33
ファン・ギョアン法務部長官が20日午前、国会法制司法委員会に出席して、いわゆる「ソンワンジョン・リストに名前のある親朴系要人のうち国外に出国した人がいるかを確認してほしいというパク・チウォン新政治民主連合議員の質問に答えている イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「法務部長官は検察事務の最高監督者として一般的に検事を指揮・監督し、具体的事件に対しては検察総長のみを指揮・監督する」。 検察庁法第8条だ。 法務部長官は個別事件に対して一線検事を指揮してはならず、検察総長が中間で“風防”の役割を果すということがこの条項の要諦だ。 大統領が任命した政務職である法務部長官が捜査に介入してきた“政治検察”の歴史のために入れられた条項だ。

 「ソンワンジョン・リスト」捜査に対するファン・ギョアン法務部長官の態度は、この法の趣旨とは正反対だ。 彼は多くの言葉を使っている。20日、国会に出席した彼は「政界に行き交っている不法政治資金全般に対する検討が必要な時期」とし「過去から現在まで問題がある部分は政治改革次元で完全に明らかにする必要がある」と述べた。 野党政治家7~8人の名前が含まれた“リスト”を特別捜査チームが確保したという一部マスコミの報道に相槌を打つような態度であった。当時、特別捜査チームはこの報道内容が事実ではないと確認までしていた。

 24日付の国民日報インタビューでは、いよいよ佳境に入る。“ガイドライン”がさらに具体化された。 彼は「(ソン・ワンジョン前会長が)2006年から2013年までの7年にわたり皆さんにいくら与えたかが記されている。口座追跡や通話内訳追跡などをしなければならないはずなのに、そこに8人だけ名前が知られて来るのか。捜査をしてみれば自ずから皆さんに接することになるものと見られる」と述べた。 また「押収捜索をするといっても、資料がみな混ざっているのではないか。先に8人の資料だけを選んで行い、後から300人にして、こうしたことになるのではないか」と述べた。

 個別の事件に対して言及を自制する伝統的慣行から抜け出して、捜査の対象・方向・範囲まで細かく決めたわけだ。 しかも、これを国会報告や言論インタビューを通じて公開的に明らかにして、捜査の拡大を既定事実化した。 ファン長官のこのような姿は検察庁法の趣旨に外れるだけでなく非常に異例だ。

 検事は犯罪の端緒を発見すれば捜査に着手するよう法に定められている。 今回の捜査でも当初リストになかった第3の人物が飛び出してくることはありうる。 だが、ファン長官の発言を見れば、このような一般論的状況を言っているわけではない。 むしろ与党側の“焦点ボカシ”に積極的に呼応しているように見える。 検察には「捜査対象をさらに捜し出して、親朴実力者だけが問題であるようになっている状況を反転させてみなさい」で注文しているようだし、野党には「あなた方も無事では済まない」と警告しているように解釈できる。 特に“リストの8人”に対してのみ選別的に捜査することはできない相談だとし、国会議員の定数である300人に言及したことは、非常に不適切で危険に見えさえする内容だ。

 ファン長官の捜査外圧論議は今回だけではない。 これに先立ってファン長官と法務部は、ウォン・セフン元国家情報院長に公職選挙法を適用したり、セウォル号救助に失敗した海洋警察に業務上過失致死容疑を適用しようとすることに対して「法理検討をもっとしてから来なさい」とひじ鉄を食わせる方式で検察に事実上外圧を加えたという批判を受けた。 法務部長官が“外圧”を封じるどころか、自らが“外圧”となっているという思いを拭いがたい理由だ。

ノ・ヒョンウン記者 //ハンギョレ新聞社

 ちょうど24日は第52回「法の日」だった。ファン長官は記念式で「法曹人が率先垂範して法を守ることが法治主義の先決条件」と話した。 国民の視線がソンワンジョン・リストに注がれている今、信頼を得られる捜査のためにどのように対応しなければならないのか、ファン長官は深く悩む必要がある。

ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/688397.html 韓国語原文入力:2015-04-24 21:49
訳J.S(1870字)

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