中南米を訪問中の朴槿恵(パク・クネ)大統領が21日午前5時30分(韓国時間)、ペルーでミン・ギョンウク大統領府報道官を通じてこう発言した。「首相の辞意について報告を受けた。非常に残念で首相の苦悩を感じる。 このことで国政が動揺することなく国論分裂と経済再生が困難に陥らないよう内閣と秘書室は徹底的に業務に臨むことを望む。検察は、政治改革次元で確実に捜査し全てを明らかにすることを望み、今経済再生が何より重要なだけに国会でも民生法案の処理に協力をお願いする」
与野党まとめて高強度捜査を指示
不法資金の受恵者である大統領が
「政治改革主張」説得力なし
民生法案・公務員年金改編など
与野党攻防中の懸案は漂流する可能性
短いが強烈な内容だ。最も特異な点は、検察に対して「政治改革次元の確実な捜査」を注文した点だ。 李完九(イ・ワング)首相を辞退まで追い込んだソンワンジョン・リスト事件は、過去の政府に対する朴槿恵大統領の“企画司正”と、それによる“ブーメラン効果”から始まったというのが客観的な分析だ。 それでも朴槿恵大統領の発言からはこのような認識は全く見当たらない。 むしろ今回の機会に与野党の政治資金を全方向的に捜査しなければならないと強調している。
ソンワンジョン・リストの核心は、2007年ハンナラ党大統領選候補競選と2012年の大統領選挙不法政治資金だ。 受恵者は朴槿恵大統領自身だ。 犯罪で利益を得た人が、大統領の地位に上がった後に、まさにその犯罪捜査を促すという映画のような場面が今繰り広げられている。
朴槿恵大統領は3月17日の閣僚会議で「今回首相が推進している腐敗清算は、何があっても揺らぐことなく国民と国の経済のために使命感をもってやり遂げることを願う。 各部署は今後30年の成長のために土壌を新しくする覚悟で腐敗の清算に汎政府的な力量を結集するよう願う」と述べた。 腐敗清算を自身の“天命”と見なした発言だ。李完九首相の辞退以後に出てきたペルー発言も論理的にその延長線上にある。 例えるならば、運転未熟で交通事故を起こしてもブレーキの代わりにアクセルを踏んだ格好だ。 結果がどうなろうが今や捜査政局が始まったわけだ。
今後はどうなるだろうか? 第1段階は京南企業の問題だ。検察はソン・ワンジョン前会長が与野党に提供した不法政治資金と公務員たちに与えた賄賂に対して高強度捜査を展開するものと見られる。 捜査対象は「8人に限定されない」というファン・ギョアン法務部長官の言葉通り、いくらでも拡大する可能性がある。 第2段階は全方向局面だ。 検察はこの間に確保した犯罪情報を総動員し、与野党の不法政治資金全般に対して一方的捜査に突入するだろう。
「朴槿恵検察」の捜査による政局は成功するだろうか? 政治はいったいどうなるのだろうか? キム・ヒョンジュン明知大教授に助言を求めた。「歴代政権が政治改革に成功できなかったのは、大統領が自身を改革の主体に設定し、残りを改革の対象としたためだ。 改革が成功するには大統領自身が調査を受けるという相当な覚悟で取り組まなければならない。 不法政治資金の受恵者である朴槿恵大統領を聖域として残しておいて、野党議員を含む捜査結果を検察が出した時、国民が納得できるだろうか? 野党の反発で政局は麻痺し、結局与野党が適切に妥協する線で止まるだろう。 今回の捜査政局は失敗が予告されている」
朴槿恵大統領が注文した経済再生と民生法案処理ももちろん期待し難い。 野党の雰囲気がすでに尋常でない。 新政治民主連合の「親朴権力型不正ゲート対策委員長」を受け持つチョン・ビョンホン最高委員は「他の小枝を折って焦点ボカシ捜査や乱闘場捜査をするなら、検察の公正性と透明性を疑わざるをえない非常に深刻な状況が到来するだろうと警告する」と明らかにした。
結局、朴槿恵大統領の執権3年目は、無理矢理担ぎ出した司法の刃を振り回し、司正はまともに働かず、公務員年金改革をはじめとする国政課題も全て流れて、失敗の歴史として記録される可能性が高い。