朴槿恵(パク・クネ)政権発足3年目の「企画された不正腐敗清算」の火ぶたを切ったのは、李完九(イ・ワング)首相だ。彼は先月12日、それぞれ、検察と警察を指揮するファン・ギョアン法務部長官とチョン・ジョンソプ行政自治部長官を屏風のように後ろに立たせたまま、対国民談話を通じて「腐敗との戦争」を宣言した。しかし、それから40日で謝意を表明し、「ソンワンジョン・リスト」特別捜査チームの捜査対象に転落した。自分が推進した、その企画された不正腐敗清算の罠に、自らがかかってしまったのだ。李首相が自分を狙ったと判断したソン・ワンジョン前京南企業会長は、先月22日、李首相に電話をかけて救命を試みた。
しかし、検察関係者の間では、李首相が宣言を代読したに過ぎなかったという見方が有力だ。まず、首相室は、検察総長―法務部―大統領府民政首席室につながる報告ラインから排除されている。特に公開捜査に切り替える前の内偵情報は、報告ラインの中でもごく少数だけが共有する情報だ。ところが、李首相は3・12対国民談話で、資源開発と大企業の不正捜査を不正腐敗清算の主なテーマだと指摘した。それぞれ京南企業やポスコ建設に照準を合わせた検察の内偵の動きを正確に捉えたのだ。
これは、大統領府民政首席室が不正腐敗清算を主導的に企画し、李首相はこれを公開する一種の「引き金」の役割を果たしただけ、という見方を裏付けるものと言える。李首相の談話発表後、キム・ジンテ検事総長が示した反応も、このような推定の信ぴょう性を高めている。キム総長は、李首相の談話を見た後、「どうしてあんな真似ができるのか」と激怒したと伝えられる。検察関係者は「昨年はセウォル号の局面だったので、検察が大きな捜査を進めることができない状況だった。検察総長の任期2年目を迎え、これまで溜まった諜報を基に適切に捜査を進めてみようとしていたが、向こうがその気配を察知して乗っかってきた」と述べた。検察側は、国務総理室傘下の国務調整室を通じて「このようなことをすると、捜査が台無しになり兼ねない」と抗議の意を伝えたと伝えられている。結局、法務部と民政首席室の報告ラインを通じて捜査の動きを捉えた大統領府が、李首相に「腕章」を付けてあげたという推論が出てくるのもそのためだ。
法曹界の関係者らは「不正腐敗清算の動き」を企画した人物として、ウ・ビョンウ民政首席を最初に挙げる。検察出身の彼でなければ、これ程の「捜査図」を描くのは困難だということだ。検察高官出身のある弁護士は、「急に首相が出てきて、検察の捜査を指揮する場面を見て、あれはウ・ビョンウ首席の作品だと思った。問題は、世の中の出来事というのはそれほど単純なものではなく、(企画意図とは違って)このように予期しないことが起こるということだ」と述べた。他の検察高官出身の弁護士も「大統領が政権発足3年目に出した作品が、このようにブーメランとして帰ってきてしまったから、これで早期のレームダックは避けられなくなった」とし「大統領としても、今後は民政首席に責任を問うしかないのではないか」と述べた。
セヌリ党のハ・テギョン議員も最近『ハンギョレTV』とのインタビューで失敗した不正腐敗清算の捜査について、ウ首席など、大統領府の民政ラインの責任を問わなければならならないと明らかにした。
韓国語原文入力: 2015-04-22 20:14