会社の法人カードを私的用途に使った容疑で略式起訴され、正式裁判に付されたキム・ジェチョル元韓国文化放送(MBC)社長が、懲役6カ月に執行猶予2年を宣告された。当初、キム元社長を略式起訴する線で事件を軽く済ませようとした検察は手抜き捜査に対する批判を免れ難くなった。
ソウル南部地裁刑事11単独シン・ジュンクォン判事は13日、私的用途のホテル宿泊と貴金属、キャリアカバン購入などに会社の法人カードを使い、会社に1130万ウォン(約125万円)の損害を与えた容疑(業務上背任)で起訴されたキム元社長に「法人カード不正使用の疑いなどで在任期間中に内部の軋轢が深刻化し、公営放送である文化放送の地位を著しく貶めた」として懲役6カ月執行猶予2年を宣告した。裁判所はキム元社長が監査院の放送文化振興会監査過程で法人カードの使用内訳を提出しなかった容疑(監査院法違反)についても有罪と判断した。
判決文によれば、キム元社長は2010年3月から2012年2月まで計39回かけソウルや仁川など首都圏のホテルに投宿し、法人カードで宿泊費を決済した。 キム元社長は裁判過程で「業務と関連ある宿泊と食事」だったと主張したが、裁判所は「予約者がほとんど2人であることに加え、ほとんどが週末に会社所在地から遠く離れた仁川所在のホテルまで行って業務を遂行したという点は理解し難く、仮名と虚偽事項を用するなど公的業務のために投宿したとは見られない」と明らかにした。
裁判所は「(キム元社長が)ホテル投宿当時に仮名を使い、チョン・○○(女)などの携帯電話番号を記載するなど、公的業務のためにホテルに投宿したとは見難い行動を見せた」とし「さらに仁川Bホテルなどに投宿当時、チョン・○○の動線と被告人の動線がほとんど一致する点も被告人陳述の信憑性を疑わせる」と指摘した。
また、裁判所は「キム元社長は公営放送の代表として、万が一にも疑いを受けかねない行動をしてはいないか、絶えず自身を省察する姿勢が必要だった」として「会社の法人カードを個人的用途に使っておきながら、心から反省するどころか包括的な業務関連性を主張し犯行を否認しており、厳格な法的責任を避けられない」と量刑理由を明らかにした。
文化放送労組はストライキ中だった2012年3月、キム元社長を法人カード私的使用の疑いで検察に告発したが、ソウル南部地検刑事6部(部長ファン・ヒョンドク)は、昨年1月1130万ウォンを被害額と認定し、キム元社長を罰金1000万ウォンで略式起訴した。しかし裁判所が罰金刑の略式命令ではなく正式裁判に付して審理してきた。
キム元社長は、文化放送の大株主である放送文化振興会が2013年3月に臨時理事会を開き解任案を可決して、株主総会前に自主辞退した。昨年の地方選挙ではセヌリ党の泗川(サチョン)市長候補競選に出たが脱落し出馬できなかった。