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ガザ地区でイスラエルとパレスチナの子どもたちが虐殺されている

登録:2023-10-12 06:34 修正:2023-10-12 08:09
ハマス、イスラエル人入植地の子どもたちまで「斬首」 
前例のない報復にガザ住民たちも「子どもたちに何の罪があるのか」
10日(現地時間)、ガザ地区にあるアル・シファ(al-Shifa)病院の前で、男性が負傷した子どもを抱いて移動している/AFP・聯合ニュース

 暴力の狂気によってイスラエルとパレスチナのガザ地区の子どもたちが前例のない災いに見舞われている。パレスチナのイスラム武装組織「ハマス」の大規模な奇襲攻撃から3日後の10日(現地時間)、イスラエル人入植地で幼い子どもたちがむやみに虐殺された情況が明らかになった。外部と完全に断絶したガザ地区では、イスラエル軍の前例のない無差別爆撃が続いている。両方から「子どもたちに何の罪があるのか」という怒りの声があがっている。

 イスラエル軍は10日、イスラエル人農業共同体「キブツ」があるガザ地区近隣のクファール・アザ集落に進入し、無差別虐殺の現場を確認した。英国のBBC放送などが報道した。修復作戦に乗り出した71部隊のダビディ・ベン・ジオン副指揮官は、「ジハード(イスラム聖戦)マシーンが武器を持たない住民たちを殺害した。そのうち何人かの犠牲者は首が切り落とされたことを確認した」とし、「見るのも恐ろしい」と語った。英紙ザ・タイムズもイスラエル軍の捜索過程で、乳児を含め家族全員が寝室などで皆殺しにされた事例も確認されたと報じた。

 イスラエル国防軍のニール・ディナール報道官(少佐)は、「首が切り落とされた犠牲者の中には幼い子どももいた」と述べた。ただし、犠牲になった子どもが何人で、このうち何人が斬首されたのかは明らかにしなかった。イスラエル軍のイタイ・ベルズ少将は「ここは戦場ではなく虐殺の現場」だと語った。ジョー・バイデン米大統領も同日午後、ホワイトハウスでの演説で、両親が殺され、乳幼児が殺され、女性が性的暴行を受けたという「怒りを巻き起こす報道」が相次いでいると嘆いた。

イスラエル兵たちが10日(現地時間)、ハマスの奇襲攻撃で大規模虐殺が起きたユダヤ人入植地のクファール・アザで、犠牲者の遺体を運んでいる=クファール・アザ/AFP・聯合ニュース

 キブツの修復作戦に参加したある兵士はBBC記者に、血で染まったベッドを指しながら、この下には自宅の庭で首を切り落とされて死亡した女性の遺体があると語った。ここから数メートル離れたところには、黒く変色し膨らんだハマス戦闘員の遺体も置かれていた。AFP通信は、イスラエル軍はキブツ内の死亡者を100人以上とみていると報道した。

 AP通信は、「ガザの村」という意味の「クファール・アザ」のキブツは学校やユダヤ教会堂まで備えた豊かな農業共同体であり、住民は700人余りだったと報じた。同村はガザ地区と隣接しており、これまでもハマスのミサイル攻撃の危険にさらされてきたが、7日のような凄惨な攻撃を受けるとは誰も思わなかったと、BBCは指摘した。前日にも南部のキブツ「ベエリ」で100人以上の犠牲者が収拾されるなど、ガザ地区近くのイスラエル人入植地の犠牲者が次々と確認されている。

 一夜にして地獄と化したこのキブツから西に10キロも離れていないガザ地区では、イスラエル軍の無差別空襲でまた別の地獄が広がっている。イスラエル国防軍(IDF)は10日夜、ガザ地区の中心都市であるガザシティ内のハマスの拠点200カ所を爆撃したと発表した。AP通信は、イスラエル軍が2021年の第4次イスラエル・ガザ紛争当時、ガジシティのリマル地区にあるハマス本部を爆撃したことはあるが、今回のような集中爆撃はなかったと指摘した。ヨアブ・ガラント国防相は同日、「ガザ地区は絶対以前の姿をとり戻せないだろう」と述べ、攻撃を続けることを示唆した。

 220万人が住んでいるガザ地区は、7日以降続いた数千回の大規模爆撃で完全に廃墟と化した。9日からは電気、水道、ガス、食料供給まで遮断された状態。10日現在までに900人が死亡し、約4千人が負傷したという。

 空襲で家を失い、6人の子どもたちを車に乗せて避難したある女性は「私の子どもたちが一体何をしたというのか。なぜこんな目に遭わなければならないのか」と嘆いた。彼女はどこに行けばいいのか分からないとし、「電気もインターネットも食べ物も飲み水もない」と語った。リマル地区で食料品店を経営するある商人は「これは報復ではなく狂気だ」とし、「今まで彼ら(イスラエル)が殺したのは誰なのか。ハマスの指導者か? 違う。彼らは数百人の市民を虐殺した」と憤りをあらわにした。

 イスラエルがガザ地区に対する地上軍投入準備をしている中、ガザ地区の住民の間では1948年のイスラエル建国過程で起きた大災害(ナクバ)が繰り返されるのではないかという恐怖も広がっている。ガザ地区の住民のプレスティア・アラカドさん(22)は「文字通り安全な場所がどこにもない」とし、「亡くなった祖父が語っていた1948年の大災害がどんなものなのか分った」と語った。ナクバとは、イスラエルが1948年に独立を宣言し、パレスチナ住民の約半分にあたる70万人を彼らの故郷から追い出した事件をいう。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1111657.html韓国語原文入力:2023-10-12 02:24
訳H.J

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