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イスラエルでネタニヤフ首相責任論…「危険の識別に失敗、相手を無視した外交」

登録:2023-10-10 07:09 修正:2023-10-10 10:50
現地紙「ネタニヤフに明らかな責任」社説で批判 
ネタニヤフ、挙国一致内閣で突破試み
イスラエルのネタニヤフ首相(前列右から5番目)が7日、テルアビブで行われた閣議に出席している/新華・聯合ニュース

 パレスチナのガザ地区を統治する武装組織ハマスの奇襲攻撃で数百人のイスラエル人が犠牲になったことについて、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の責任は重いとする批判の声があがっている。ネタニヤフ首相は国家的な非常事態に対して挙国一致内閣の組閣を試み、危機突破に乗り出した。今後の対応によっては、通算16年近くイスラエルを率いてきた「最長寿首相」であるネタニヤフ首相の政治生命が左右されるとみられる。

 中道左派系のイスラエル日刊紙ハアレツは8日(現地時間)の社説で、「今回の災厄に対して明確な責任のある人物がいる。ベンヤミン・ネタニヤフ首相だ」と真っ向から批判した。同紙は「安保問題について代替できない知恵を誇った首相は、危険の識別に完全に失敗した」と批判した。さらにネタニヤフ首相がベザレル・スモトリッチやイタマル・ベングビールのような極右の人物を内閣の主要閣僚に任命するとともに、「パレスチナの権利と存在をおおっぴらに無視する外交政策を展開した」として極右的政策の危険性を批判した。

 スモトリッチ財務長官はパレスチナ国家樹立に反対してきた極右の入植地指導者で、今年3月に「パレスチナ人などいない」という「暴言」を吐いた人物だ。ベングビール治安(国家安全保障)長官は、反アラブ人種主義を扇動して有罪を宣告された前科がある。また、イスラム教の3大聖地の一つに数えられる東エルサレムのアルアクサ・モスクを今年だけで3回訪問し、パレスチナ人を刺激した。同紙は、腐敗容疑で裁判中のネタニヤフ首相が国民的反対にもかかわらず司法制度改編を推し進めていることも指摘しつつ、「有罪で収監される可能性もある状況で、国政をまともにみることができなかったはず」だと批判した。

 批判に直面したネタニヤフ首相は素早く動いた。ハマスの攻撃を受けた当日の7日、非常事態に対処するため、野党指導者のヤイル・ラピド前首相と野党第二党の回復党のベニー・ガンツ元国防長官と会談し、政権への参加を要請した。ネタニヤフ首相は、1967年の「6日間戦争」(第3次中東戦争)の際にレヴィ・エシュコル首相が反対派のメナヘム・ベギンらを参加させて成立した挙国内閣と同じ形式の政権を提案した。ハアレツは、2人は肯定的な反応を示したと伝えた。ガンツ元国防長官は「我々が戦争遂行に参加し、影響を及ぼす本当の機会を得ることになるならば、戦争が終わるまで我々はそこにいるだろう」と述べた。国家的危機の前で力を合わせるという覚悟を表明したのだ。しかしラピド前首相は、ネタニヤフ首相がスモトリッチとベングビールを解任しなければ挙国内閣には参加しないと述べた。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/1111393.html韓国語原文入力:2023-10-09 16:37
訳D.K

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