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イスラエル「水と電気をすべて遮断する」…ガザ地区に閉じ込められた220万人

登録:2023-10-11 06:34 修正:2023-10-11 07:08
9日、イスラエルの報復攻撃で建物が破壊されたガザ地区で煙が上がっている/新華社・聯合ニュース

 ハマスとイスラエルの衝突以降、イスラエル側がパレスチナ暫定自治区のガザ地区への水や食糧、電気、ガスなどの供給を遮断すると宣言したことで、すでに「世界最大の監獄」と呼ばれている同地域での人道危機がさらに膨らんでいる。イスラエル国防軍(IDF)がガザ地区に投入されれば、被害の規模は手に負えないほど拡大するものとみられる。

 英国のBBCは9日(現地時間)、7日のハマスの全面攻撃以降、イスラエルの報復爆撃が4日間続いているガザ地区の惨状について伝えた。イスラエルのヨアブ・ガラント国防相は南部ベエルシェバの南部軍司令部で、ガザ地区を「完全に包囲する。電気も食糧も水も燃料も得られないだろう」と全面封鎖を宣言した。イスラエル政府は、イスラム武装組織のハマスが2007年6月に同地域を掌握した後も、水や電気などを供給してきた。

 過酷な報復空襲も4日連続で続いている。IDFは10日午前、X(旧ツイッター)を通じて、ガザ地区にあるハマスの目標物1290カ所を攻撃したと明らかにした。イスラエルの封鎖措置により、16年間にわたり事実上「天井のない監獄」の中で暮らしてきた220万人余りが、水や電気、食糧供給などが途切れた状態で、いつ終わるか分からないイスラエルの激しい報復にさらされることになった。

9日、ガザ地区のある病院でイスラエルの報復攻撃で負傷した子どもたちが治療を受けている/新華社・聯合ニュース

 イスラエルの報復宣言後、パニックに陥った住民たちは爆撃にさらされた家を出て避難を始めた。国連は10日、ガザ地区内部の避難民は18万7千人と発表したが、大半が安全な避難所を見つけられずにいる。ガザ地区自体が大きな監獄であるため、外部への脱出も不可能だ。IDFは9日から周辺を幾重にも包囲しており、唯一の風穴といえるエジプト国境側のラファフ検問所も出入りが厳しく統制されているという。結局、かなりの数の住民が爆撃の危険を冒して家に留まるか、爆撃の危険の少ない病院周辺や校舎に身を寄せざるを得ない。国連人道問題調整事務所(OCHA)は9日、約7万3000人が学校に避難していると伝えた。10日現在、4日間の爆撃で死亡した人は700人余りにのぼる。

 CNNはハマスの先制攻撃以後、ガザ地区の住民たちの間に「複雑な感情」が広がっていると報じた。イスラエルに対する大規模な攻撃に痛快さを感じると同時に、今後続く報復を恐れているという。4人の家族で暮らしているハニ・バワブさん(75)は「恐慌と恐怖の中で暮らしている。何をすればいいのか分からない」と語った。その一方で、「いつも彼ら(イスラエル)が我々を攻撃してきた。今回は違った」とし、ハマスの今回の攻撃について後悔しないという反応を示した。

 ガザ地区は地球上で人口密度が最も高い場所の一つで、360平方キロメートルの面積に約220万人が暮らしている。2008年以降、イスラエルの封鎖により、16年間にわたって外の世界と断絶されてきた。パレスチナ中央統計局(PCBS)によると、昨年の失業率は45.3%に達したという。ガザ地区を「世界で最も大きな天井のない監獄」と呼ぶ理由だ。

キム・ミヒャン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1111482.html韓国語原文入力:2023-10-10 22:17
訳H.J

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