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[社説]‘総理’ではなく‘国民の資格’すら疑わしい

登録:2014-06-14 09:12 修正:2014-06-14 13:30

 ムン・チャングク国務総理候補者がこれまでさまざまな教会や団体、学校で講演したとされる内容は信じがたいものだ。それは単に親日とか親米とかいうレベルを越えている。この国に住んでいる者なら決して口にできない話を数えきれない程言ってきた。もう彼の総理資格について論じることすら無意味に見える。彼が果たして大韓民国の国民の資格を備えていると言えるのかから確認せねばならない状況だ。

 各種の講演に見られる彼の信念と哲学、歴史観は非常に明確だ。 "朝鮮民族は怠惰で自立心が足りない"と言い "日本の植民地支配は不可避だった" としたし、"韓国が完全に独立したら共産化されるしかない"と言い、済州4・3事件は "共産主義者らの暴動" であり "日本に慰安婦問題を謝罪してもらう必要もない" などだ。我々の民族性に対して徹底した自虐と日帝の強制支配を合理化する親日植民地史観、極端な反共イデオロギーからなる南北分断不可避論で構成されている。そのうえ途方もない宗教的な信念まで加わって、極めて恐ろしいイデオロギーを形成している。

 ムン候補者は自身の発言内容が波紋を起こすや "教会という特定の場所で信者を対象にした講演なので一般人の情緒とは多少距離があるかもしれない" として "誤解される余地があったことは遺憾" と釈明した。それならばムン候補者に訊ねたい。教会ではない一般の場所で話せば‘朝鮮民族は勤勉で独立心が強い民族’などと、すべてのことが180度変わるということなのか。はっきり言うが、彼の発言はあまりにも明確で、誤解したくても誤解する余地は全くない。今になって教会の講演だったからという言葉でうやむやにしてやり過ごそうというのはおかしい。

 今この国の国務総理には大統領と国民を連結する、対話のメッセンジャーとしての役割が非常に期待されている。ところがムン候補者の考え方と認識は国民と一体となって対話を図るどころか、国民の常識的観念ともかけ離れている。植民地史観を基盤とした‘民族改造論’をもってして‘国家改造’をしようと考えているとすれば背筋が寒くなりさえする。加えて何にでも‘神様の意’をあてはめる宗教的な偏りも考慮すると、どう見ても総理としては非適格な人物だ。総理よりはいっそ個人の信仰生活に邁進する方がよほどマシに思える。

 ムン候補者の各種の妄言は、大統領府の人事確認の過程に相変らず大きな穴が空いていることを示している。指名から一日で、マスコミが指摘した発言内容をめぐって大統領府側が、"そのような発言が報道等を通じて公開されていたか" と弁解するのはナンセンスだ。とにかくムン候補者の総理資格の問題でこれ以上是非を論じるのは時間の無駄ではないかと考える。大統領府は検証失敗の責任を認め、直ちに指名を撤回することこそが波紋を早期に収拾する道だ。ムン候補者もここまで来たら去就を自ら決めるのが賢明な選択であることを理解するよう望みたい。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/642074.html 韓国語原文入力:2014/06/12 18:54
訳T.W(1341字)

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